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□ 黒
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コイツなら答えをくれる、そんな気がしたんだ。
本当に衝動で。
後先なんて考えてない。
「どうされました?」
中との温度差に身震いする蛮を見て、赤屍は直ぐにバスタオルを広げて蛮を包んだ。
顔色を伺うように覗き込む。
「……寒い」
小さく呟く。
そんな相手を抱き上げ浴室へと入り、浴槽の蓋を退けてゆっくり縁へと腰掛けさせた。
バスタオルを手摺にかけ、オケでお湯を掬い肩に優しくかけてゆく。
赤屍は俺を大切に扱ってくれる
そんな優しさがとても染みて
すごくコイツの傍は温かい気がした
「アンタ濡れるぜ…」
「かまいませんよ」
シャツ一枚に黒のズボン姿の相手を見上げた。
「だったら…アンタも入れよ」
「宜しいのですか?」
「ん…」
小さく頷くと赤屍は微笑み服を脱いで扉の外へと置く。
上手く言葉を使えない俺はコレが精一杯だった。
ただなんでもいいから傍に居て欲しかっただけだった
けど、方法がわからなかった。
「ゆっくり浸かっていて下さいね」
「なぁ…」
赤屍の言葉に頷き立ち上がるも浴槽には向かず、シャワーのコルクを捻り調整してシャワー浴び始める赤屍の方を向いて呼んだ。
「はい―…!」
此方を向く相手に徐に口付けた。
肩に手を添え、少し背を伸ばして首を傾ける。
生きる為に身に付けた一つの方法。
「…抱いてくれねぇ?」
紫眼を濡らし相手を見上げ首に腕を回して妖しく微笑んだ。
昔、こんな方法でもいいから人の温もり欲しさに何度もしていた。
残るものは虚無だと知っていても温もりに包まれる一時の夢が欲しかったんだ。
温もりに包まれるなんて程遠いのにバカみてぇにいろんなヤツ誘ってた。
本当に俺はイっちまってる…赤屍にこんなことして
消えた方が正解かもな
「…アナタが苦しむ必要はないですよ」
赤屍は確りと腰を引き寄せ抱き締めた。
そして、蛮が目を合わせようとした瞬間、目元にそっと口付ける。
「…え」
口付けられるまで気付かなかった。
泣いてたことを。
強く抱き締めてくる赤屍。
「私が傍に居ます」
優しく耳元で囁く声。
身体を包む身体。
コイツは本当にすげぇ。
欲しい言葉ばかりくれる。
「蛮、貴方を愛してます」
だけどその言葉が、腕が怖かった。
「あい、して…?」
相手の言葉に瞳を大きく揺らしながら、どこか恐る恐る見上げた。
そんな蛮を強く強く抱き締める。
「はい、愛してます」
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