GB

□優しすぎる虚像
1ページ/2ページ


いつまで仮面をつけてるの?

ねぇ、もういいよ?


苦しまないで、悲しまないで


ボクが優しくつつむから。
















●優しすぎる虚像●














たまたま見つけた



アイツの後ろ姿を










何となく気になってつい後を追った。辿り着いた場所は墓の前。


煙草の煙を揺らしながらしばらくしてまた違う墓へ移る。その繰り返し。






気配に気付かない美堂は珍しい。



「……美堂?」



不思議に思い、つい名を呼んでしまった。

ビクリと反応する美堂。





ゆっくりと振り返る相手は複雑な表情を浮かべどこか焦ってように見えた。


「な…なんでテメェが居るんだよ」
それを隠すようにサングラスを押し上げる。

「いや、お前をたまたまみかけてな。誰の墓参りだよ?」
「テメェには関係ねぇだろ」

案の定、予想していた答えが返ってきた。
話題など思いつかず気まずさに後ろ髪をかいた。







「…で、なんか用かよ?」



そんな俺を不審そうに紫色の瞳が見つめ問いかけてくる。



「別に用はねぇ…」
つい歯切れの悪い回答をしてしまう。







そうだ、何故俺はコイツについてきたんだ?








思わず自問自答する。

「猿マワシ?‥帰らなくていいのかよ?嬢チャンまってんだろ」


空は既に暗くなり月が輝いているため、時間帯に何となく予想つき小首を傾げて問いかけた。






一、二に相手の心配。

自分の心配なんてコイツにとって何番目の項目なんだ?








「いや、マドカはもう寝てる」
「だからって早く帰って傍に居てやれよ」






ほら、また。






「お前こそいいのか美堂。銀次が待ってるんじゃねぇか?」
「いや、今アイツは里帰り
してる。育った場所にな」






寒さに白い吐息を漏らしながら遠くを見つめる美堂。


その横顔は何処か寂しげだった。







「珍しいな、お前が銀次と一緒に居ないのは」
「そうか?アイツの育った場所だ。たまにはアイツだけで仲間と話す機会があってもおかしくねぇと思うぜ?」
「いや、そうじゃなくて、お前から銀次が離れることが珍しいっていってんだよ」


あぁ、無理矢理置いてきた、と美堂は言った。理由は仲間と逢うのに俺は必要ねぇと。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ