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スバルのトランクをあけ中を探り、でてきたチラシを手にとる銀次。
「…GetBackersは美堂蛮って人と組んでて…そうだ‥GetBackersの"s"は一人じゃ無いって意味なのになんで俺、一人なんだろ?」
明らかに自分の字ではないもので書かれたチラシにポツリと呟いた。

刹那、頬に落ちる雨。



「うわっ雨降ってきた…!」
突然激しくなる雨脚に急いでスバルの助手席へと乗り込む。ふと、助手席に乗ったと同時にフラッシュバックが起きた。









‥――いつも俺は助手席に座っていて


隣には相棒がいつもタバコを吸いながら運転してた。









いつも、隣に



「蛮……」






















「アイツなにやってんだよ…」


宛てもなく歩いていた蛮はいつのまにかスバルを停めていた公園にいた。
車内にいる人物に思わず溜め息交じりの呟き漏らす蛮。
「銀次…お前は一人で大丈夫だ。仲間も沢山いる。だから、思い出そうとするな」











もう、消えたんだ












「……」
銀次は無言で煙草をくわえた。

何かを真似するように。



相手の行動に思わず止めようと反射的に手を出すも窓も銀次の身体もすり抜けた。
「……っ、バカ野郎…お前に煙草は似合わねぇ」
どうしようもない現状に静かに手を引きやりばの無い手を降ろして呟く。







雨に濡れても無いのにとても身体が冷える気がした。



寒くて、冷たい。















「俺の大好きな人‥」
「銀次……もういい‥」
「いつも一緒にいたはずなのに…」
「もう…ッ」
聞いていられず顔を伏せ歯を強くくいしばった。


届くはずの無い声。



耐えられずその場を去ろうと背を向け歩き始めた。






刹那、












「蛮…、ちゃ‥ん」








背後から聞こえた車の開く音とともに予期せぬ声が聞こえ、足が自然と止まった。





一瞬にして重くなる服。

濡れる髪。





蛮の身体を雨が濡らした。














「ぎん‥「蛮ちゃん…!!」

どこか恐る恐る振り返り名を呼ぼうとした蛮に駆け寄り抱き締めた。






「蛮ちゃん…もう、離さないから」



なんで思い出したりしたんだと言いたいのに言葉がでない。


なにも言えず、顔を伏せたまま肩口に顔を埋めた。
そんな蛮を何も言わなくていいよと諭すように優しく抱き締める銀次。







「‥お前は温かすぎる」
「うん」
「俺は消えたんだ…」
「うん」
「もう俺は誰の記憶にも存在しないはずだ…」
「うん」
「なのになんで…お前を感じる‥」
銀次の上着を強く握りしめ受け入れられない現実に困惑する蛮の言葉をただ静かに銀次は聞いて頷いた。







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