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「蛮ちゃんが必要な存在だからだよ。俺、やっぱ蛮ちゃんが居ないとダメだ」
「ぎん、じ…」
蛮を離さないとばかりに強く強く抱き締める。


普段の蛮からは想像出来ないほど弱々しく名を呼ぶ声。その声と蛮の身体はうつ向いたまま小さく震えていた。





「毎日…食べ物の取り合いっこしたり、必死にビラ配りしたり、一緒にパズルのピース最後まで集めたいよ」
優しく背中擦りながら笑み浮かべて話す銀次。



「GetBackersの“s”は一人じゃないって意味だし!ねっ蛮ちゃん」
「…ったりめーだ。こんど忘れたら容赦しねぇからな…ッ」
「うん!帰ろっか…俺たちの居場所に。きっとあったかいコーヒー煎れて待っててくれてるよ」

銀次の言葉に頷くも顔が上げれず服を握りしめた。




「…おう、でも…もう少しこーしてろ‥」
「うん」






そのまま静かに雨に打たれていた

冷えた身体は体温を求め離れられなかった

優しさが腕から伝わる


温もりの中、ただ夢中で泣いていた――…



























いつの間にか雨はやみ、綺麗な夕陽が空をオレンヂに染めていた。


二人は何時も通りあの場所へと向かう。








「ねぇ蛮ちゃん!」
「あ?」
突然、何かを思いついたように振り向く銀次。蛮は煙草をくわえながら首を傾げた。





「蛮ちゃんはもう自由だね!!」







「は…?」
唐突な宣言につい間の抜けた声を上げる。
そんな蛮を見つめて言葉を続けた。








「蛮ちゃんを縛るものは何もないんだよ?運命とか宿命とかそういうものはもうなにも無いし、俺たちの絆は消えなかったし、もう誰も苦しんでない」




コイツは本当にすごい

光のように明るく見えて眩しい





「もう全ての“刻”は終わって始まった!俺たちの好きなように生きて、つくっていこうよ。新しいけど、何も変わらない俺たちの“刻”。もう、自由なんだし…ねっ蛮ちゃん!」




その笑顔は二度と忘れられない光となった


孤独に怯えることはもう無いと


苦しみは消えてなくなったと


俺に、教えてくれた。












「……たくっ、お前は」
「?」
「俺様に説教なんざ100万年はえーよ!」
「んあ゙っ…ぁにすんですか蛮ちゃんっ」
「テメェが生意気な事言うからだろ」
「言ってないよー!」
頭ひっぱたかれ思わずタレて頭を押さえ蛮に泣き付く。そんな相手を上下に引っ張り、みょーんと収縮させながら笑った。



「バーカ」



そう言って無邪気に笑った蛮を見て銀次は満面の笑みを浮かべ、ガバッと音をたてて抱きついた。


「蛮ちゃん可愛い!!!」
「スネークバイトォ!!」











全てはリセットされたんだ


もう、俺は一人じゃねぇ



最高の仲間と共にこれからを


好きなように生きてやる






俺は…今、ここにいる。














         END.

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