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□What does God expect?
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不思議だった。


他人といてこんなにも居心地がいいのは初めてで、もっと相手のことを知りたいと思った事が。


何故こんなにも優しいのかが不思議で仕方なかった。









大きなベットに二人並んで腰かけて他愛もないことばかり話していた。



「蛮は本当に賢いですね」
「まーな!医術とか化学とかも結構勉強してんだぜ!こーみえても俺、強ぇし」
「ほう…それはとても頼りになりそうだ」
自慢気に話す少年に微笑み浮かべる赤屍。





話していれば突然ふと、少年の表情が陰る。かげりに気付いた赤屍がどうしました?と首を傾げた。


「…なあ、赤屍は俺が気持ち悪くねぇの?」
「何故ですか?」
「紫色の目をしてるし…さっきの人が言ったように俺……」





魔女の血を引いてる、


なんて知られたらもう話せなくなる気がしてその先が言えない。






黙っているとふわりと赤屍の手が頭を撫でてきた。




思わず反射的に顔を上げる。




「蛮は蛮です。それだけで十分じゃないですか?」
「蔵人…」




「それに生い立ちがどうであれ私は蛮が好きですよ」




赤屍の言葉に大きく瞳揺らし、動揺隠すように思わずうつむいた。
膝に置かれた手をきゅっと握り締めて拳を作り、小さく震える蛮を心配そうに見つめ背にそっと触れる。


「蛮?」
「……て」
「?」
「‥人に好きって言われたの初めてだ…、こんなに優しくされたのも…っ」

ボロボロと落ちる涙を必死に拭いながらも、今まで押し殺していたものが溢れだして止まらない。




純粋そのものの涙。

その涙に惹かれるように小さな身体を抱き締めた。




「くろ、ど…ぉっ」
「蛮…」


重荷を背負うにはまだ小さく無垢な少年。

総て吐き出してしまえばいいと優しく背を擦りながら腕に力を込めた。








主よ――汝は何故、この子に不幸をもたらすのですか?


こんなにも幼く純粋な子に―…






























――翌朝。






「…ん」

記憶おぼろげにベットの中で目が覚め、眠気眼な目を擦りながらゆっくり起き上がり、昨日のことを思い出そうと思考めぐらした。



「…ぁ、蔵人‥」


思い出すと同時に部屋の主が居ないことに気づきベットから急いで降りた蛮。






「…ろうど、蔵人‥っ」


見えない姿不安気に辺りをキョロキョロと見回し気付けば名を呼び探していた。






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