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□腕
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「蛮…」
「いてぇ…よ」
アンタの愛が。
身に染みて仕方ない
「…バカ屍‥」
小さく呟き自ら唇を重ねた。
片腕で蛮の身体を強く抱き寄せ、右手の指を絡めながら深く唇を重ね直す赤屍。
お互いがお互いを求め合い口付けを繰り返す。
甘く、深く。
このまま溶けてしまうような錯覚へと襲われるほどに。
濃厚な口付けに夢中になり気がつけば、赤屍が身体を捻り覆いかぶさるような形になって蛮はベットに寝ていた。
ゆっくりと離れる唇を名残惜し気に後を追うように目を開き見上げる。
開かれた瞳を愛しげに見つめ額にくちづけを落とした。
「…ん‥蔵人、」
「はい?」
「なんでもねぇ…ただ、呼んだだけ」
優しいものは怖い
赤屍がくれる優しさが偽りでないことはわかる
だから余計に怖くて
「私には貴方だけです」
そういって抱き締めてくる腕は優しくて強い。
俺はこの腕に何度も救われ虜にされてきた。
「蔵人、もっと…」
強く強く抱き締めて。
俺とアンタだけを感じれるくらいに。
「蛮、愛してる」
強く抱き締めながら耳許で囁かれ、甘く、強い響きをもったその言葉は直接脳へと届いた。
「…蔵人以外なにもいらねぇ」
「蛮…私の全てを貴方に差し上げますよ」
いくつも落ちてくる優しいくちづけ
強く抱き締めてくれる腕
俺にくれる言葉
全部、俺のもの。
「俺も…てる」
俺も、アンタだけを…愛してる。
ずっと
ずっと。
END.
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