PARODY SS

□狂気の桜
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桜は人を狂わせる。




初めて会ったのは、利央がこの病院付属の看護学校の研修で訪れた時だった。

『先生、やっと会えましたね。』
『は?……誰だお前?』

子供みたいな人なつっこい笑顔で急に抱きついてきた。とりあえず、カルテの端でぶっ叩いた。






もっともっと、狂ってしまえばいい。





■狂気の桜■





悪夢が再びやってきた。

「病院付属看護学校を無事卒業し、本日づけで病院看護士になりました!利央です!研修中はお世話になりました!」
「あーッ!!うるせぇ!!診察カルテ書いてんの!」
「あ!その角のへこみ、俺の頭殴ったやつですね!準さん!」
「準さんじゃねぇ!先生つけろ!!」

研修中にさんざん抱きついたりセクハラまがいのことをしていた利央が、準太づきの看護士に配属された。

「和さぁーん!!なんとかして下さいよ!」
「はは。懐かれてるんだろ。お前はやさしいからな。はい、これをBの13手術室持ってったら今日はあがっていいぞ。おつかれ。」
「はい。お先失礼します!」

和さんに頭を撫でられて上機嫌に手術室に器材を運んで、奥の手術台を見ようと電気をつけた。

「………何してんのお前?」
「ッ!!」

利央が何かの書類を盗み見るように、こそこそと薄暗い中デジカメで書類を一ページずつ撮影していた。隠そうとする利央の手から書類を無理矢理奪う。

「…ッ…これ榛名のカルテじゃねーか!何かってに持ち出してる!?」
「それは……ッ言えません。」
「ふざけんな!処分を受けてもらう。上に報告するからな!」
「待ってください!榛名が…ッあいつが手術するまではこの病院にいたいんです!!準さんッ!!」

利央が強く準太を引き止めると、バランスを崩した準太の体が手術台に俯せに倒れる。そのまま利央が上から押さえ付ける。

「離せッ!テメェぶっ飛ばされてぇんかッ!!」
「……どうしても上に報告すんですか?」
「あたりまえだ!看護師が個人情報をかってにみんのは重罪なんだよ!!」
「なら…こっちにも考えがあります。」

かちゃり、とベルトを外して準太の両手を後ろ手で固定し、口に準太のネクタイを外し、突っ込んだ。

「ごめんね準さん。」
「んーッ!!んんッ!」
「でも、準さんが悪いんだよ?」

そういって手術室の鍵をしめて明かりを消した。
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