PARODY SS

□閉ざされた森
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真実を知る覚悟はあるか?







物事には順序がある。


言えない過去があった。

その始まりは俺には何ら関係のない事でも、歪みを誰が産み出したのか、と問われたらそれは俺の小さな願いからだと思う。


俺は堪え難い嘘を。彼に。








■閉ざされた森■







「そーっとだぞ?」
「ぅ、う…!」
「あー!ヘッタクソ!」

院の裏にある河に、青白い光を放ち飛ぶ蛍を観て、田島と三橋は二人で光を捕まえようとした。

「あまりはしゃぐと落ちるよ!」
「へーきへーき!いいか三橋!見てろよ!」

秋丸の忠告をよそに、田島は身を乗り出してスッと蛍を捕まえた。

おーっ!と三橋が拍手をして田島の後をヒヨコのようについていきながら二人して院の縁側へ歩みよる。

「見ろよ泉!スゲーだろ?」
「うわッ!んなもん近くで見たくねぇ!…意外と蛍ってキモイんだよ。ゴ〇ブリみてぇで。」
「〜〜〜ッ!!田島!こっち持ってきたら殺す!」
「えー?可愛ーよなぁ?」

泉が縁側に座りながらスイカをシャク、と一口食べて種を遠くに飛ばした。榛名が泉の言葉に過敏に反応するのを見て、田島は蛍を片手に持ちかえて榛名を追い掛けまわす。その後ろをついていた三橋はスイカを見付け、ヨダレを垂らしながら手を伸ばした。

「おにぃちゃ…塩!…かけて。」
「おー、こんくらい?」

利央が塩を軽くかけてやり廉はスイカを夢中に食べだした。
走るのをやめた榛名が廉の横に座ってスイカを食べだす。

「弟はスイカ好きなのに兄貴のお前は食えねぇの?」
「大きなお世話だッ!…あ…」
「あ?」

田島が隙をついて榛名の肩に蛍を三匹のせる。榛名は利央の驚いた視線の先の、自分の肩を見てギャァッ!と変な声をあげた。

「マジキモイ!!てめぇ田島コレ取れよッ!」

榛名の驚きように全員笑いだし、さっきとは逆に、こんどは田島を追い掛けまわして走り出した二人を見ていた。





ありふれた日常のヒトコマ。

当然のように過ぎた日々も、失って初めて幸せだったと理解する。



愛しんでも戻らない過去にすがりついて泣けば、神様はもどしてくれるのだろうか。




いや、神様は、どこにもいない。


(いたとしたら、なぜこんなにもアナタは理不尽なんでしょうか。)







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