PHASE-SEED&DESTINY
□キミの瞳*Yzak 2
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3分の1のクルーの検査を終えたトコロで、その日の検診は中断され、持って来た食料等の詰め込みの為
アンジェラは、ファーメルの食堂へ向かっていた。
「困ったな‥早く渡した方が良いんだろーけど‥やっぱ、シェリルに頼もうかなぁー‥‥。」
1通の封筒を握り締めていたアンジェラは、食堂へ行く足を止めると、気分を変えようと 小さなスペース
ではあるものの、外を一望出来るデッキの扉を開いた。
「ぁ‥――」
「何だ、アン‥ミス・レイ。また迷ったのか?」
ソコには、少し疲れた様な顔をしたイザークが立っていた。
「いえ‥その‥イザ‥ジュール隊長へ、手紙を預かってて。」
「手紙?」
眉根を寄せ、アンジェラが差し出した白い封筒を受け取ると彼は、不審そうな顔をしながら差出人を
確かめる為に、クルリと裏返す。
「な‥母上‥‥。」
裏面には、美しいが か細い筆跡で『エザリア・ジュール』の文字があった。
かつて、プラント評議会の役員を務め 女性である物腰の柔らかさと、歯切れの良い指示と聡明さで
プラントの為に尽力を尽くしてきた彼女も、パトリック・ザラ亡き後は、政治犯として囚われの身となっていた。
事が戦争であった事と、結局はザラ議長の独断であった『ジェネシス』の発動が、大勢の証言から得られ
大きな罪は問われず、軽罪の施設の様な刑務所で ある程度の、自由のある生活を送っていたのだが
24時間監視の下での生活に、心労で倒れ、現在は病院暮らしになっていた。