★×忍足侑士B★

□お札の呪い
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厄日だ。
そうとしか考えられない。
でなければ、この状況は…

□■お札の呪い□■

忍足は電車に乗ったことを深く後悔していた。
朝の通勤通学ラッシュ、電車の中は鮨詰め状態で、ろくに身動きも取れない。
そんな状況で、先ほどから正体不明の手が、尻や腰を撫で回しているのだ。
抵抗しようにも、電車が揺れる度周りの人に押し潰されそうになり、毎回阻まれてしまう。

「…っ…」

そうして、忍足が抵抗しないのをいいことに、手はより大胆に動き始めた。
尻にあった手は前に回り、器用にベルトを外しズボンの前を寛げて中に侵入してくる。
あまりのことに声をあげようとしたところで、その手が自身を扱き始める。

「っん…!ぅ、あっ…」

甘い声が漏れそうになり、慌てて両手で口を押さえる。
こんな痴漢なんかに好きにされるのも嫌だったが、不特定多数の人がいる中で、自分の甘ったるい声を聞かれる方が嫌だった。
痴漢は、忍足の自身を扱きながら、もう片方の手でシャツの上から胸の突起を弄り始める。

「っふ…ぁ、ぁっ…」

膝がガクガク震える。
こんなところでも、忍足は興奮してしまっているようだ。

ドアに縋りつくようにして崩れそうな身体を支え、早く解放されたいという欲求に任せて目を閉じる。

「ンっ、あぁ…ぁっ!」

そして忍足は、腰を震わせて痴漢の手の中に白濁を吐き出してしまった。
荒い呼吸を繰り返し気怠い余韻に浸っていたところで目の前のドアが開き、服装を直しながら痴漢から逃れ、ふらふらと駅のホームに降り立つ。

「…っ…最悪や…」

朝からどうしてこんな目に遭わなければならないのか。
忍足は鞄に付けられた小さなぬいぐるみを見遣った。
それは、先日白石から送られてきたもので、肌身離さず持っているといいことが起こるという話だった。

「ええことなんか何もあらへんし…」

溜息を吐きながらも、のんびりしている暇はないと、忍足は歩き出した。
痴漢されたショックなのか余韻なのか、足が少し震えてしまい、階段ではなくエレベーターを利用することにした。
朝の時間帯は皆急いでいて近くにある階段を利用するからか、少し離れたところにあるエレベーターには忍足の他に一人しか乗っていない。

「…っん…?」

エレベーターのボタンの前に立ち、上に着くのを待っていると、乗り合わせた男性が、不意に後ろから近付いてきた。
嫌な予感に振り返ろうとした時には遅く、忍足は壁に押さえ付けられてしまう。

「っ…何や、エレベーターなんてすぐに上着くんやから…」

「着かないよ」

忍足が叫ぶように言い掛けたところで、その男性は鍵を取り出し、操作パネルを開いてエレベーターを止めてしまった。

「えっ…?」

「俺、管理会社に勤めてるからね」

言われてよく見てみると、その男性は作業着を着ている。
忍足がそんなことに気付いている間に、その男性は忍足のズボンの前を寛げてしまう。
そしてそのまま自身を握られ、電車の中と同じように痴漢されてしまう。

「や…止めっ…」

「静かにしていれば悪いようにはしないよ」

ぐちゅぐちゅといやらしい音を立て、自身を乱暴に扱かれる。
先ほど煽られて敏感になった身体はそれだけで過敏に反応してしまう。

「ふ、ぁ、あぁっ」

「敏感だね…可愛いよ」

乱暴な手つきだったが、それが寧ろ快感を煽る。
忍足は壁に縋るようにしながらそれに耐えるしかない。

「っは、あ…ンっ」
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