★×跡部景吾A★

□勘違い姫
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『えっと…土曜日、空いてる?空いてたら、付き合って欲しいんだけど…』

あれは昼休みのこと。
こんなところを目撃してしまうなんて、予想もしていなかった。

□■勘違い姫□■

「宍戸っ!土曜日暇か!?」

「えっ…」

「部活の後、家来て欲しいんだけど…」

昼休みに、女子に誘われているのを見たから、なんとしても阻止しなくてはいけない。
だって俺達は恋人同士なんだから。
もしここで宍戸がNOと言ったら…疑惑は確信に変わる。

「……ダメ、か?」

「いや、いいぜ」

やった!
これで宍戸はあの女のところには行けない。
俺様の彼氏に手を出そうなんて100年早いんだよ。
だけど…やけにあっさりOKしたけど、昼休みのは何だったんだろう?

***

土曜日。
部活が終わり、二人で俺の家へ向かう。
二人きりで一緒に帰るっていうのも、恋人っぽくて好きだ。
いつもは車で帰るんだけど二人の時は歩き。

「お帰りなさいませ。宍戸さま、いらっしゃいませ。お食事はいかがなさいますか?」

「部屋に運んでくれ」

「畏まりました」

宍戸を連れて部屋に行く。
本当は寝室に直行したいところだけど、今から食事なので我慢我慢。
ベッドの傍に鞄を放り、ネクタイを緩めたところで食事が運ばれてきた。

「それにしても、なんで急に誘ったりしたんだ?」

「えっ?」

「いきなり誘うなんてお前らしくないからな、何か意味があるんじゃないかと思って」

そういえばいつもは遅くとも一週間前には誘っていたが…。

「で、どうして?」

「え…っと、…食べ終わってから、な」

「? ああ…」

危ない危ない…。
あの女と会うのを阻止するのに必死で、宍戸に対する言い訳を考えてなかった。
何て言ったらいいんだろう…。
そんなことを考えているうちに食事が終わってしまった。
どうしよう…。
と、その時。

「あ、電話だ。ちょっと悪ィ」

宍戸の携帯に電話をしてくるなんて、十中八九母親か鳳だろう。
だけど…。

「ああ、悪いな今日行けなくなって。え?来週?あーどうだったかな…」

…違う?
内容から察するに、電話の相手は…あの女。

「多分部活なんだよなー、だから…っ!?」

無理矢理キスした。
その瞬間驚いたのか力の抜けた宍戸の手から携帯を奪い取って通話を切る。
ついでに電源も。

「んんっ…ふぁ、んっ」

「…っ跡部!」

「っはぁ、はぁ…っ」

「お前何考えて…!」

「それはこっちの台詞だろ!?なんで…ッ!」
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