★×跡部景吾A★
□Only Me
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忍足は人に好かれる性格。
人当たりがいい、と言うのだろうか、とにかくいつも人に囲まれているのが似合う。
そんな忍足と跡部が付き合い始めたのは、つい最近のこと。
しかし付き合い始めても忍足は跡部以外の人に囲まれているのが当たり前で、忍足の特別になりたかった跡部は疎外感を覚え始めた。
□■Only Me□■
「忍足先輩、今日の放課後お時間空いてますか?」
「空いとるよ」
「じゃあ会ってもらえますか?」
「ええよ」
この流れを見るだけで、女生徒が忍足に告白するだろうというのが判る。
判っているはずなのに、忍足は人を拒まない。
例え恋人がいるとしても。
対して跡部は、恋人として自分を優先してほしいという思いが強い。
他の約束を断ってでも恋人を優先してほしいという、独占欲が強いのだ。
そして、そのせいで、人一倍嫉妬心も強い。
「侑士」
「景ちゃん、どないしたん?」
「今日は、一緒に帰れるか?」
「今日?…今日は、ちょっと、先約があって…」
忍足は言葉を濁した。
「そう…か。じゃ…いい。また今度な…」
跡部は酷く傷付いた顔をしていたが、俯いていたため忍足は気付かなかった。
***
放課後。
跡部は一人家路に着きながら忍足のことを思って溜息を吐いた。
忍足と自分の気持ちに温度差があるのではないかと考えていた。
いつも自分からしか話しかけたりしない。
それに加えて、今日のように恋人をそっちのけで他人との約束ばかりする。
跡部は忍足に嫌われているのではないかという不安に押し潰されそうになった。
跡部は溢れる涙を袖口で拭うが、それが止まることはなかった。
***
翌日。
忍足は相変わらず多くの人に囲まれている。
跡部はその中に入っていって、忍足に声をかけた。
「侑士、今日は…」
「ああ、悪い。今日も約束あって…」
「待ってるから。用事、済むまで部室で待ってる」
「え?でも遅なるで?」
「いいから!」
跡部は声を張り上げた。
そして忍足の返事を聞くこともせずその場を去った。
その顔はとても赤く熱かった。
***
そして放課後。
部活も終わり、部員達も帰った後、跡部は一人部室で忍足を待っていた。
念入りにシャワーを浴び、汗を流した。
そしてロッカーを開け、中からあるモノを取り出す。
「コレ…使う…のか」
自分で用意したのに少し躊躇った。
しかし、ここまで来たら後には退けない。
跡部は意を決した。
***
ガチャ
「景ちゃん、まだ居る?」
「…侑士…」
随分遅くなって、すっかり日も暮れた頃になってようやく忍足は帰ってきた。
まだジャージ姿。
「ちょぉ待ってな。すぐ着替える…」
「侑士」
言いながらロッカーに向かおうとする忍足の腕を掴むと、跡部は乱暴なキスをした。
驚いた忍足は固まってしまう。
「ちょ…景ちゃん?」
やっと理性を取り戻した忍足は跡部を引き剥がした。
「自分、何しとんねん、イキナリ…」
「…女、なんかに…侑士、とられたくないから…」
「は?」
忍足は跡部の身体をじっくりと見た。
顔は異常に赤い。
手の先は小刻みに震えていて、肩もぴくんぴくんと跳ねるように動く。
「景ちゃん…?」
すぐ跡部の身体の異変に気付いた忍足は跡部を抱え上げてソファに下ろした。
そして跡部のベルトに手をかけた。
すると跡部の身体が大きく跳ねた。
「やァ…侑士っ」
抵抗の声を無視して下着ごとズボンを引きずり下ろした。
「あ…っ!」