★×向日岳人A★
□捕心
1ページ/2ページ
好きなのは貴方だけ。
絶対に、裏切らない。
□■捕心□■
朝から雨が降っていた。
しとしとと降り続く雨が地面を潤し、空気さえもしっとりと冷たくなる。
この分だと今日の部活は休みだろう、と岳人はぼんやり思った。
今日は忍足が学校を休んでいて、一日退屈で仕方がなかった。
部活がなければ早く帰れる。
忍足の家に見舞いに行こう。
そう思っていたのに、放課後に話があるからと榊に呼び出されてしまった。
行きたくはなかったが、監督直々の呼び出しとあれば断るわけにはいかない。
渋々ながら、岳人は放課後に音楽準備室を訪れた。
「失礼しまーす」
「ああ、向日か。入りなさい」
軽くドアをノックしてから入ると中には榊しかいなかった。
榊の向かい側に置かれた椅子に腰掛け、出されたカップに口を付ける。
榊の好みだろうか、甘い香りのする紅茶で、正直岳人の口にはあまり合わなかった。
「…あの、話って?…っ!」
カップを置きつつ話を振ったところで、いきなり肩を掴まれ、無理矢理机に上体を押し倒された。
カップが床に落ち、大きな音を立てる。
紅茶も零れて床に敷かれたカーペットに染みを作った。
「かっ…監督…?」
「大人しくしていなさい」
榊に押さえ付けられ、何がなんだか判らない。
わけが判らないまま両手を背中に回され、手首をまとめて何かで縛られてしまう。
「っ…何…?」
言いようのない恐怖を感じる。
逃げなくては、と本能が告げている。
しかし、榊の手が背中の中央辺りに置かれ、身体を押さえ付けられてどうしても身体を起こすことが出来ない。
音楽教師とは思えない力の強さで押さえられている。
「っ…!?かっ、監督!」
そして、空いている方の手が腰に回されたかと思うと、その手がベルトを外し、ズボンと下着を引きずり下ろす。
岳人の声も無視して榊は着々と進めていく。
忍足と付き合ってから、幾度となく身体を重ねてきたのだが、忍足以外の人とはしたことがない。
「大人しくしていなさい」
榊の落ち着いた声が苛立ちを煽る。
岳人はなんとか抵抗しようと縛られた手を動かすが、徒労に終わる。
榊の手が萎えた自身に触れると、気持ち悪さに肌が粟立つ。
「監督、失礼します」
その時、突然ドアが開いた。
助けが来た、という気持ちと、こんなところを他人に見られた、という気持ちに混乱する。
ちらりとドアの方を見るとそこには見慣れた人達がいた。
そこにいたのは、跡部、宍戸、ジロー、鳳の4人。
この4人も榊に呼び出されたのだろうか。
だとしたら、助けてくれるかもしれない。
そう思った岳人が声をあげようとした時。
「もう始めてたんですか」
「だから早く行こうぜ、って言っただろ」
聞こえてきた会話に耳を疑う。
こうなっていることは予想していたというのか。
「っ…?まさか…」
「アーン?…判んだろ、忍足といつもしてることと同じだぜ」
このままではやり辛いと、机に押し付けていた岳人の身体を起こさせ、床に無理矢理座らせる。
岳人は必死に抵抗するが、5人掛かりで押さえ付けられると、小柄な岳人にはどうしようもない。
5人の手がそれぞれ伸びてくる。
岳人に成す術はなかった。
「うーん…萎えたままだねぇ」
「不感症…なのか?」
自身に触れられても、嫌悪しか感じない。
反応を見せない岳人に苛ついてか、4人が岳人を四つん這いに押さえ付ける。
榊が岳人の背後に回り、慣らしてもいない後孔に自身を押し当ててくる。
「!?や、無理っ!止め…あ、あ、ぁ…ーッ!!」