★×向日岳人A★

□人形〜岳人・番外篇〜
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「それじゃあ、よろしくお願いします」

「ああ、任せときな」

ほんの数日間。
その時間で、一体何が出来るだろう。

□■人形〜岳人・番外篇〜□■

岳人は日吉の「人形」だ。
普段は当然日吉が世話をしているのだが、明日から日吉は修学旅行に行ってしまうため、その間、跡部が岳人を預かることになったのだ。
日吉は少し不安そうにしていたが、結局は跡部のことを信頼して預けていった。

「じゃ、今日からよろしくな!」

「ああ。ま、適当に寛いでいいからな」

跡部の家は日吉の家とは違って全体的に洋風の造りだった。
日吉の家にはない大きなソファが気になるのか、その上に座っては弾むようにして遊ぶ岳人は子供のようだった。

「…ジュース、ここに置くからな」

岳人が零してしまわないかと少し離れた位置にジュースと菓子を置くと、岳人はすぐにそれに手を伸ばした。
どうやら甘いものが好きらしい。
用意したクッキーを頬張る姿は、リスのような小動物を思い起こさせる。

「日吉に何か言われたことあるか?」

「んー、何も…あっ、いや…迷惑掛けるなって言われたけど」

そんなことを言ったところで、岳人は何も気を付けるつもりはなかった。
菓子を食べ尽くし、ジュースも飲み干してしまうとソファにごろんと横になってクッションを抱き締める。
日吉ならば咎めるかもしれない状況だが、跡部は怒りもせずそれを楽しそうに目を細めて眺めていた。

「岳人は今夜何が食べたい?なんでも用意させるぜ」

「マジ?…ならハンバーグ食いたい!」

日吉の家では圧倒的に和食のことが多く、好きなのになかなか食べられない洋食もたくさんあった。
見た目に違わず幼い好みの岳人に跡部は笑って夕食にハンバーグを用意させるよう告げる。
跡部は基本的に家事は使用人にさせるため、岳人と遊ぶ時間はたっぷりある。
その後、夕食まで跡部は岳人のしたいことをなんでも聞いてやり、二人で楽しく過ごした。

***

夕食を終え、一緒に風呂に入ってしまうと、あとはもう寝るだけだ。
広過ぎる跡部のベッドは、岳人が寝ても十分な余裕がある。

「落ちるなよ?」

「大丈夫だって」

岳人はソファに似たよく跳ねるベッドが気に入ったようだ。
楽しそうにベッドを叩いたり転がったりしている。

「全く…」

跡部は岳人の様子に呆れながらも注意することはなくカーテンを引いたり目覚ましをセットしたり寝る支度をしている。
岳人はそんな跡部をじっと見てからゆっくりと身体を起こした。

「なあ跡部ー」

「あーん?」

支度を終えた跡部がベッドに近付いてくると、岳人は両手を伸ばして跡部の肩に手を掛けた。
それを拒もうとしない跡部に、そのままゆっくりと口付ける。

「今日すっげー楽しかった。…で、そのお礼」

岳人は恥ずかしがるそぶりも見せずにさっさと服を脱ぎ捨てていく。
人形として造られた岳人の身体はとても綺麗だ。
これなら、日吉が夢中になるのも頷ける。

「な、しようぜ?」

ベッドに投げ出した四肢は引き締まっていて、まさに人形、という雰囲気だった。
跡部はベッドに乗ると岳人に覆い被さるようにして唇を重ねた。
柔らかな唇の感触が心地いい。
そのまま舌を入れて咥内を探ると、岳人からも舌を絡めてくる。

「ん、ん…ふぁっ」

口付けをしながら胸の突起に触れると、岳人の身体が小さく跳ねた。
やはり人形の身体は敏感なようで、ただ胸に触れただけで頬が赤く染まり、太腿を擦り合わせる。
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