★×向日岳人A★
□君との関係
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会いたかった。
ずっと待っていた。
会えて、とても嬉しかった。
□■君との関係□■
中等部卒業後、跡部は高等部には進まず一人外国に留学した。
内部進学をした岳人は、最初は取り残されたような気がしていたが、段々と跡部が傍にいない日々にも慣れていった。
手紙や電話で、離れていても繋がっている気は勿論していたが、やはり傍にいないというのは寂しいものだった。
そして、その寂しさを乗り越え、跡部がようやく日本に帰ってきた。
帰国の予定を聞かされた時、岳人は飛び上がりたくなるくらいに喜んだ。
帰国する日は空港まで迎えに行き、甘い一日を過ごした。
今まで傍にいなかった分を埋めるように、二人はお互いのことを根掘り葉掘り聞き、話し合った。
知らない話を聞くのは面白かったし、また恋人と一緒に話せるのが楽しかった。
しかし、それは最初だけだった。
段々と、知らない人との関わりや、知らないところでの行動に、苛立ちにも似た感情が湧き上がってきたのである。
「…その人と仲良いんだ?」
「ん?…ああ、学校でも同じクラスだったしな」
「ふーん…」
岳人が話す知り合いは、跡部も知っている人が多いのだが、跡部が話す人のことを岳人は知らない。
留学中も、恋人は自分だけだと何度も言ってもらっていたのにも関わらず、その仲が良かったという人全員に嫉妬してしまう。
自分だけを見ていればいいのに。
そんな醜い感情が、岳人の中でどんどん膨らんで、そして遂に破裂した。
「っ、もういい!」
「岳人?」
「久し振りに会ったのに…他の人のことばっかりで、俺のかとなんかどうでもいいんだろ?」
感情が昂っている岳人はまくし立てるように早口で告げると、勢いよく立ち上がり、そしてそのまま家を出ていってしまった。
「岳人…!」
跡部が追い掛けるよりも早く、岳人はどこかに行ってしまった。
こうなっては、もう跡部にはどうすることも出来ない。
早く帰ってこいとメールだけして、家で待つしかなかった。
***
「…最低…」
跡部の家を飛び出して自宅に戻り、自室に閉じこもった岳人はベッドに伏せて自己嫌悪に陥っていた。
跡部に悪気がなかったことくらい、考えなくても判る。
跡部は向こうであったことを話してくれただけ。