★×跡部景吾A★

□その日まで
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着け終わると、跡部は嬉しそうに笑った。
忍足はそんな跡部の頭を撫でてやり、またベッドに寝かせる。

「もう挿れるで?」

「ん…っ」

跡部は小さく頷いた。
忍足は壊れ物を扱うように優しく跡部を扱うが、跡部はまだ、この挿入の瞬間の衝撃だけは苦手だった。
忍足の逞しい腕にしがみついて、瞳をぎゅっと閉じて耐える。
まるで処女のようなその仕種が可愛らしい。

「あ…あ、アアァ…あっ、侑、士…侑士っ…」

出来るだけゆっくりと自身を挿入してやる。
跡部の中は忍足自身をぎゅうぎゅう締め付ける。

「挿ったで、景ちゃん」

「あ、ァ…全部…?侑士の…挿った…?」

跡部が確認するように問うと、忍足は微笑みながら頷く。
すると跡部はとても綺麗な笑顔を返す。
その笑顔もまた二人きりの時しか見せない、とびきり上等なもの。

「動くで…」

「あ…ぁん!あぁああっ!ひ、ゃあっ」

明るいせいで全てがよく見える。
白く滑らかな肌も、赤く染まる頬も、蒼く濡れた瞳も全て。
当然結合部も。
跡部は恥ずかしさに枕を掴み、顔に押し付けた。
しかし、すぐに忍足に取り払われてしまう。

「やだぁ…っ、枕、返して…恥ずかしいから…っ」

「だーめ。可愛え顔、ちゃんと見せて?」

忍足は宥めるようなキスを施すと、腰を動かす。
跡部は驚いて身体を強張らせたが、目を閉じて忍足に身を委ねた。
忍足はゆっくり跡部を絶頂へと誘う。
自分よりまずは相手を気持ちよくさせたいのだ。

「侑士…あん、そこ…気持ちい…っ、侑…ァアっ」

「景ちゃん…っ」

「だめぇっ、あアあぁぁっ!ひ…あ───っ」

跡部は長く啼いて果てた。
引きずられるように忍足も果てた。
跡部の中から自身を引き抜き、息を荒くしている跡部の頬にキスをしてやる。

「侑士…あの……」

「ん?」

「…なんでもない」

跡部は最近いつも行為の後こうして何かを言いかけてはやめる。
忍足はそれが気になって仕方がなかった。

「なぁ、なんか悩みあるなら言うてみ?」

俯いたままの跡部に優しく言ってやると、跡部は首を横に振る。

「何?黙っとったら判らへんやん」

「…わ、笑わないで…聞いてくれる?」

「うん」

忍足は頷く。
跡部は小さな小さな声で言った。

「…あ、赤ちゃん…欲しいなって…思ったの…」

許されないことだとは判っていても。
愛する人との間に子供が欲しいと思うのは悪いことではない。

「うん…俺も、赤ちゃん欲しいわ」

「うん……っ………」

「泣かんといて。今は無理やけど、いつか絶対作ろうな」

まだ、許されないから。
こんなにも願って祈っているのに、許されないから。
せめてその時まで、この気持ちを持ち続けたい。
いつか、この願いが叶う日まで。


END
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