誰にも気付かれずに





勝手に元就サンをベッドに寝かせ、一先ず目が覚めた明智に任せた。
嫌いではないが関わると面倒なのであまり保健室には来ないでいたが、事態が事態。
診察を終えたらしい明智は、仕切りのカーテンを閉めると机に戻って来室表に色々と書き込んだ。



「おい、元就サンは大丈夫なのか?」
「多分また寝不足と貧血が重なったのでしょう、少し寝たら元通りになりますよ」
「また…?」



不可解な一言に首を傾げると、意外だと言わんばかりに明智が目を瞬かせた。



「近頃仲良くしているからてっきり、伊達には話しているのかと思っていました、」
「何の話だ、」
「虐待、ですよ、」



あくまで憶測ですが、と明智は続ける。



「本人が話してくれないので確定ではないのですが、ほぼ確定ですよ、毛利は暴力を受けていることに間違いないです」

「それでたまに不眠症になるらしくて、時々倒れては此処に来るのですけどね、腕にやたら不自然な痣が決まってあるんですよ、」

「一度だけ尋ねてみました、けど、駄目でした、白を切られまして。私はあくまで保健医なので、あまり立ち入ることは出来ませんが…伊達なら、違うでしょう、」



にこりと笑って、不釣り合いなファンシーなペンを止めて明智は真っ直ぐ俺を見た。



「毛利を助けてあげて下さいね、伊達」
「…‥of cause、」



彼が誰にも気付かれないようにしていたのだとしても、
気付けなかった自分が腹立たしい。
悔しい。
まだ間に合うだろうか、







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