それがかなしくて





明智はこっそり俺の分まで早退届を書いてくれたらしく、元就サンと堂々二人並んで校門を出た。
胡散臭い保険医にも、たまには気の利くところもあるらしい。
まだ顔色の悪い彼を家までescortする。
先程のこともあって、いきなり核心を突くのも些か憚れたが、回りくどいのは嫌いだ。



「なぁ元就サン、その腕なんだが」
「明智が何を言ったかは知らぬが、我はそなたを巻き込むつもりはない、忘れよ」



穏やかに、けど確実に。
元就サンは拒絶した。
prideが高いのはわかっている。
そして誰かを庇おうとしていることも。
わかっている、けど。



「俺はアンタを助けたい、」



好きなんだ、
好きだから守りたい、もっと笑ってほしい、
このまま目を反らし続けたら、deep-sea fishになってしまう。
光の届かない暗い深海に潜って、その目は何も映さなくなってしまう。
アンタの大好きな光に殺されてしまうようになる。
それはきっと違う。



「アンタがrefusalしたって、俺は無理矢理にでも関わるし、勝手に動く、」



だってちっとも幸せそうなfaceをしないじゃないか、
俺が無駄に構ったって、嫌そうな顔をしても拒絶はしないじゃないか、
本当に、



「本当に平気なら、俺なんか相手にしない、アンタはそういう人だ元就サン」



確かめる様にそっと頭を撫でると、初めて元就サンが泣いた。
初めて、頼ってもらえた。
そのことが何より嬉しい。







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