小説
□2人で歩く道
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「・・・で、結局何の用なんだよぃ??」
家に着いて部屋に通された俺は、早速質問してみた
仁王は何時に無く真剣な顔で俺を見る
何でも見透かしてるような・・そんな目で・・
「さっきは大丈夫って言ってたけど、お前さんやっぱり何か隠しちょる・・何があったか言ってみんしゃい??」
そうやって心配そうに俺の顔を覗き込む
いけないと思いながらも期待してしまう
「何でも無いって言っただろぃ??心配すんなよぃ☆」
下手な作り笑い・・
こんなウソが仁王に通用しない事くらい解ってる
アイツは人のウソを見抜くのが上手い
「無理しなさんな・・俺が気づいてないとでも思ってるんけぇ??それとも・・俺には言えんような事なんか??」
お前に言うことが出来たらどんなに良いだろう??
無理するななんて言わないで欲しい・・
お前との関係が崩れないなら無理だって何だってする
「無理なんて・・してないだろぃ??俺は・・俺はっ・・」
声が震えてる。言葉が続かない。
もう限界だった・・このままこの気持ちを隠し通すのも、無理に笑顔を作るのも・・・
頬に暖かいものが流れてる・・あぁ、俺泣いてるんだ・・
そう思った瞬間だった
―――ギュッ
仁王に抱きしめられていた
「ブン・・ごめんな??無理に言わせたいんじゃなか・・そんな顔させたいんじゃなかよ??」
そう言って仁王は悲しそうな顔をした
どうしてお前が悲しそうな顔すんだよぃ・・俺がそんな顔にさせたのか・・??
「俺はお前さんの事好きなんじゃ・・ずっとずっと好きだったんじゃ。そんな苦しそうな顔して欲しくなか・・笑っとって欲しいんじゃ」
「にお・・??」
好き??俺の事が??
「こんな事言うて、お前の事困らすんは解っとぉ。けど・・・もう限界じゃ・・俺がお前の笑顔作ってやる事は出来んけぇ??」
そう言って俺をさらに強く抱きしめた
お前の好きと俺の好き・・同じだって思って良いんだよな??
その言葉・・信じて良いんだよな??
「・・・きだ」
「ブンちゃん・・今、何て??」
「俺も・・好き。お前の事。でも気持ち伝えたらお前が離れてくって思った・・だから・・ずっと気持ち隠してた・・でも・・俺っ・・本当は・・」
それ以上は伝えられなかった
感情のコントロールって難しい
ちゃんと伝えたいのに伝えられない
悲しいんじゃないのに涙が出る
それでも仁王には十分伝わったみたいだった
「もうえぇよ??十分じゃ。ブンちゃんが悩んどったんは俺ん所為だったんやね??ゴメンな??」
また仁王は謝った
でも次は悲しそうな顔じゃない。優しい・・俺の好きな顔
「謝んなよぃ・・。お前の気持ち聞けて良かった・・。お前が居れば、俺はずっと笑ってられるから・・。好きだぜぃ??仁王・・」
そして俺はとびきりの笑顔を向けた
伝えたかった言葉と一緒に・・・
「俺もじゃ・・愛しとぉよ??もう一生離さんぜよ」
そう言って仁王は俺に優しいキスをくれた
今までの悩みや不安なんて一気に溶かすような、甘い・・優しい・・
やっと手に入れた俺の本当の居場所・・
ずっと1人で歩くと思ってた・・
でも、これからはお前と2人で歩いていけるんだよな??
2人で歩いて行けるなら・・それはきっと・・
どんな事があっても幸せな道・・・。