小説
□転校生にご注意を!![前編]
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僕の事覚えていない??そう聞かれて初めてしっかり顔を見た。
記憶力の良い仁王は直ぐに何かを思い出すことが出来た。
「お前さん・・小学校の時に一緒じゃった??・・でも、薮内なんて苗字じゃ無かったじゃろ??」
小学校の時は、確か高橋だった。
そこまで親しい仲では無かったが、クラスの奴の顔と苗字くらいは覚えている。
「うん。両親が離婚しちゃったから、お母さんの方の苗字なんだ。」
「それでこんな時期にこっちに転校して来たって訳か・・お前さんも大変じゃのぉ??」
「そうでもないよ??丸井君が仲良くしてくれるし。それに・・仁王君にも会えたから」
そう言って微笑む顔を見て、仁王は、この顔は昔から変わらないな・・と思った。
「今からご飯食べるんだよね??僕も一緒にいいかな・・??」
その時は気づかなかった。
先ほどの笑顔と今の笑顔が違う事を。
彼がずっと見据えていたのが誰かという事を・・。