リクエスト
□ガムは甘いキスの味
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それは何時もと変わらない放課後。
しいて言うなら、今日は部活が無いって事が何時もと違う。
今日は一斉委員会があるらしくて、俺と赤也以外のレギュラーメンバーは皆会議で居なくなった。
で、暇人な俺と赤也は屋上に上って、何をする事無くただのんびり過ごしてた。
ガムは甘いキスの味
昨日はぐずついた天気だったのに、今日は雲1つ無い青空で、時折頬を撫でる春の風が心地良い。
最近は部活部活部活でゆっくり休む暇も無かったから、たまにはただボーっとしてるのも良いかもしれない。
忙しいと心を亡くすって誰かが言ってたけど、案外ホントかも。
俺、今マジで「生きてる」って感じちゃってる。
そんな事思って、自分で可笑しくなった。んで少し恥ずかしくなった。
俺は恥ずかしさを紛らわすため、ポケットからガムを取り出して口に入れた。
膨らませば綺麗なグリーン。
パンって割れたら、甘酸っぱい香りが漂った。
その様子を隣で見ていた赤也が独り言のように呟いた。
「先輩って、最近ガム食べる量増えましたよね??」
だってさ。
図星だった。
確かに俺は、最近ガムを食べる量が増えた。
別に食い意地張ってるとか、食欲旺盛になったとかそんなんじゃなくて、ちゃんと理由があるんだけど・・。