リクエスト
□ガムは甘いキスの味
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屋上から逃げ出した俺は、最悪の事態を乗り越えた。・・ハズだった。
あの後何となく気まずくて、雅治の少し後ろを付いて歩いていた。
何時もなら「隣に来てちょ」って言ったり、自分からわざわざ隣に来るはずなのに、今日は黙って前を歩いてる。
機嫌悪い・・??怒ってる・・??
あー・・だんだん不安になって来た・・。
「なー雅治!!何か怒ってる・・??」
恐る恐る尋ねると、雅治はゆっくり振り向いてこう言った。
「さっき赤也が言ってた、ノロケって何なん??」
「・・・」
そういう話はちゃんと聞いてるから困る。
真田の話なんかいつも聞いてなくて怒られてるクセに・・。
「赤也には言えて、俺には言えんのね・・雅治くん泣いちゃうゼヨ・・」
んな事言われたら言うしか無くなるじゃん??
俺がそう言う頼み方に弱いの知ってて言ってるんだろうけど・・。
解ってて言っちゃう俺も俺か・・。
「・・・笑わない??」
「笑わんよ。」
「・・・バカにしない??」
「ブン太の事バカになんてする訳無か。」
まぁ、笑われても良いんだけどな??
だって、今日は気分が良いから・・特別!!
「赤也が、最近俺がガム食べる量増えた理由教えろって言って来たんだよぃ」
「俺もその事気になっとったんよ??」
「うん。それで、俺が“雅治のキスが好きだから”って言ったの!!」
「・・俺のキスが好きなんと、ガム食べる量と関係あるん??」
俺は、大きく深呼吸した。
「雅治のキスって凄ぇ甘いんだよぃ。でも、学校じゃキスしたくてもキス出来ないから・・だから、ガムの甘さで我慢してんの!!」
恥ずかしくて恥ずかしくて・・一気に言い切った後、雅治の方を見たら、口元を手で押さえて下を向いていた。
笑ってる・・??
それを見たとたん体の体温が一気に上がったのが解った。
笑わないって約束したのに・・・。