リクエスト

□ガムは甘いキスの味
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「笑うなって言っただろぃ!!」

恥ずかしいやら悔しいやらで、俺は怒って雅治にズカズカ近づいた。

そこで俺はおかしな事に気が付いた。
近くに来て初めて解ったけど・・笑い声が聞こえない。
不審に思った俺はそっと雅治の顔を覗き込んだ

「・・・ハル??どーかしたのかよぃ??」

「何でもないけぇ・・顔見るんじゃなか・・」

「何でも無いワケないだろぃ??顔上げろって!!」

少し怒って言うと、雅治は渋々納得したように顔を上げた。

どうやら雅治は笑っていたんじゃないらしい。


「え・・顔真っ赤だぞぃ??」

「当たり前じゃろ・・さっきの台詞は反則じゃ」

ブンちゃんには敵わん・・。なんてため息を付く雅治を見て、俺は何となく嬉しくなった。
だって、あの雅治だぞぃ??殆ど感情を表に出さないアイツが顔真っ赤にして照れてるんだぞぃ??

俺はもっともっとコイツの事困らしてやりたいな〜なんて思ってしまった訳で・・・





「なぁ雅治、キスして??」


なんて、ガラにも無い事を言ってしまった。


予想通り雅治はまた顔を赤くして、その反応が嬉しかった。
その後、少し苦笑しながらもキスしてくれて、雅治のキスはやっぱり甘くて俺はさらに嬉しくなった。



「やっぱりお前のキス大好きだぜ??」

屋上で見た青空とは打って変わって、夕焼けで茜色にそまった空を見つめた。
俺の顔もあの空みたいに赤く染まってるんだろう。


たまにはこんな日があっても良いよな??
何時もは意地張ってるけど、ホントは素直な気持ちを伝えたかった。


ガムは確かに甘いけど、やっぱりそれじゃ満足できない。
キスの代わりに・・なんて、ただの気休め。
どんな甘いお菓子だって、お前のキスに勝てるワケ無いんだから・・・。




ガムは甘いキスの味。キスは2人の幸せの味。
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