落陽
□序
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太宰治は『斜陽』を書くにあたり、「傑作を書きます。大傑作を書きます。日本の『桜の園』を書くつもりです」と言っていたそうだ。そこからは、深い自信が窺える。ぼくには、そんな事を言える自信は無い。ただ、読んでくれる僅かな人がいるだけで幸せなのです──。
*『斜陽』
太宰治の小説であり、『新潮』に1947年7月から10月にかけて連載される。同年に新潮社から刊行され、文壇から高い評価を得る。そして、よく売れた。今も、ファンは少なくない。没落していく人々を描写した、彼の代表作。没落していく上流階級の人々を指し示す「斜陽族」という言葉すら生み出した。
*『桜の園』
チェーホフの戯曲であり、1904年にロシアにて初演。所有地である「桜の園」を手放す一家と、未来を手探る青年達を主軸に時代変化を描く作品となっている。