夢拾参夜

□第弐夜
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 こんな夢を見た。

 ぼくは橋の上にいた。下を見ると、静かに川が流れている。時折、魚が跳ねるのが、水の動きで解る。川には、満月が映っていた。ふと、横を見ると着物姿の女性が立っている。色白のか細い、綺麗な人だった。ずっと黙り込んで、流れる川を見続けている。

「あの、すみません」
「何です?」
顔だけをこちらに向け、鈴を転がしたような声で答える。
「女性の一人歩きは危ないのでは?」
「そうね」

長い沈黙が流れる。女性は川から目を離そうとしなかった。
「良かったら、送りましょうか?」
「あなた」
今度は鈴の音ではなかった。地の底から響くような、恨みの声。
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