夢拾参夜

□第伍夜
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 こんな夢を見た。

 ぼくは、ペットショップで鳥籠に入れられた鸚鵡を見ていた。
「そこから、抜け出せないのか?」
ぼくは鳥籠に触れた。冷たい金属の質感が皮膚に伝わる。鳥籠は、キィと音を立てて少しだけ揺れた。
「オマエモナ」
鸚鵡と目が合った瞬間、確かにそう言った。鸚鵡というのは、こちらが言った事と同じ事を言うものではないのか?
「そこから、抜け出せないのか?」
急に鉄格子が現れる。鉄格子の間からは、大きな目が覗いていた。

――ぼくはきっと、永遠の囚人だ。

 ハッと気が付くと、ぼくは鳥籠の鸚鵡と共に近所の公園にいた。いつの間に、買っていたのだろう。ぼくは溜め息を吐いて、鳥籠の扉を開け、籠を高く掲げてやる。金属の擦れ合う音は、耳障りだ。
「ほら、行けよ」
鸚鵡はすぐに飛び立ち、見えなくなった。ぼく自身は、これから何処にも行けないのに。ぼくの周りは皆、薄情な奴ばかりだ。

 目が覚めた。

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