夢拾参夜

□第陸夜
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 こんな夢を見た。

 飛べない鳥、とはよく言ったものだ。彼女には羽根が無かった。一昔前の人間の姿など、誰にも解からないものだ。他の人間を見れば、皆ちゃんと羽根が生えている。勿論、ぼくにもちゃんと生えていた。少々、鬱陶しい感覚はしたが。白い羽根、黒い羽根、灰色の羽根、赤い羽根。実に様々だった、しかし。

――彼女だけ、違っていた。
――彼女のみ、違っていた。

 誰も、彼女を見なかった。彼女の背中には、羽根がもげた様な痕が薄く残っていた。彼女はいつも飛ばずに、地を歩いていた。彼女は普段から、囁く様に唱える様に呟く様に謡っていた。

 だって、誰しも異端は嫌うもの。
 だって、誰しも異端は嫌うもの。
 だって、誰しも異端は嫌うもの。
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