夢拾参夜

□第玖夜
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 こんな夢を見た。

 ぼくは、必死で地面を掘っていた。まずは、土木作業用の大きなスコップで土を掘り起こす。次に、園芸用の小さなスコップで土を抉っていく。自分の流れ落ちる汗が目に入っては、沁みて痛かった。しかし、そんなことには構っていられないのだ。そう、夜の中にあれを掘り出してしまわなければ。

 そのうち、ヘルメットに装備されている電灯が消える。
「……電池切れか」
手探りで、リュックの中から予備の懐中電灯を出す。既に、四時間弱が経過していた。ぼくは、細身の懐中電灯を口に銜えた。微妙に土の味と、ザラッとした感覚が口の中を支配する。

 ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク。
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