夢拾参夜

□第終夜
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 今日も、無事に起きることが出来ました。
「おはよう、ぼく」
「おはよう、俺」
この二人をぼくは知っていた。
「相変わらず、状況の変化には追い付けないようだね」
笑って、ぼくを覗き込むぼく。
「なぁーに、口開けてンだ」
腕を組み、ぼくを見下すように見下ろすぼく。

――何故、ぼくがそこに居る?

「何故、ぼく達が此処に居るかって? それは、哲学的な疑問だね。今まで事実しか受け止めようとしなかったのに、成長したね」
「ここに居るから、居ンだよ。それ以外、理由なんかねえし」
彼らは夢で見た、もう一人のぼく。いや、もう二人のぼくだ。ベッドから起き上がったぼくは、呆然としていた。
「いい加減、起きないと駄目になっちゃうよ」
「お前さ、いい加減に前を見ろ」

 本当に、目が覚めた。





(終)


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