夢拾参夜

□第肆話
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 気が付くと、ぼくは高校にいた。友人の背後に回り、力の限りに首を絞める。暫くぼくの手を引っ掻く様な抵抗もあったが、少しすると友人は動かなくなった。続いて、ぼくは鉄パイプで手当たり次第に人を撲殺していく。自分の恩師であろうと、何だろうと気にしない。

――はぁっ、はぁっ、はぁっ……。

 自分の呼吸だけが耳に残る。その瞬間、後ろから蹴られてぼくは膝を付いた。衝撃で、握っていた鉄パイプも手離してしまう。そして、そのまま組み伏せられ、仰向けに転がる。そして、馬乗りにされた。
「弱者になった気分はどうだよ、あぁ?」

 ブレザー型の制服を身に纏った、ぼくだった。しかし、ぼくではない。ぼくは、このぼくだ。
「何とか言えよ、ったく……」
「………」
ぼくはぼくの首に手を掛け、力を込めた。
「仕方ねえから、俺が終わらせてやるよ」
ぼくは、甘んじてぼくを受け入れた。

――始まりは、終わりの始まり。
――終わりは、始まりの終わり。

 目が覚めた。
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