☆B別館☆

□人気の男
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「大将!大将!」

数ヶ月ぶりにセントラルに戻ってきた俺は、報告書を提出すべく司令部の廊下を歩いていた。
そしたら不意に後ろから声をかけられて足を止める。
俺をこんな風に呼ぶのはただ一人。

「なに?ハボック少尉」
「あのさぁ」

振り向くとすぐそこに少尉の顔があって焦る。

「な、なんだよ。近いって」
「内緒の話だからな」

そう言ってますます近寄ってくる少尉。
おいおいおい。
いくら内緒話とはいえ、こんなところを…

「大佐に見られたら灰になるよ、少尉」

そう。
俺と大佐は恋人同士。
何も知らずに俺と少尉がこんな近距離で話してるのを見たら、絶対容赦ないと思うんだけど。

「ああ、それは大丈夫。今外行ってるから」

大丈夫って言ってるくせに、キョロキョロと周りを気にする少尉。
絶対おかしい。

「内緒の話って何?」

だから早速本題に入ることにした。

「大将はさ、大佐のこと信じてる?」
「へ…?」

突拍子もない質問に目が点になってしまった。
何を言い出すのかと思えば…

「そりゃ…信じてるけど…」

でないとここまで恋人やってこれないだろ。
きっと大佐だって俺のこと信じてくれてるに決まってる。

「そうだよな。だったらいいんだ」

うんうんと頷いて向こうへ行こうとする少尉。
ちょっと待てよ。
俺、全然話分かんないんだけど?

「なんだよ!最後まで言え!」

少尉の軍服を思いっきり引っ張って引き止めた。

「ぐえっ!」

首が絞まって物凄い声を少尉があげたけど、そんなの気にしてられない。

「どんな内緒話をしようと思ったんだよ。教えろ!」
「わ、分かった!分かったから放してくれ。ぐるじぃ…」

少尉の返事を聞いて、ようやく開放してやる。

「ったく…しょーがねぇなぁ大将は」

まだゲホゲホ言いながら少尉が話し出した。

「大将が帰ってくるちょっと前にさ、手紙をもらってたんだよ」
「え…」

誰が、とは出てこなかったけど大佐のことを言ってるのは間違いなくて。
その言葉に心臓を掴まれたような感覚に陥った。

「へ、へぇ。相変わらずモテモテだな、あいつ」

正直言ってこんなことはしょっちゅうなんだ。
それにいつだって大佐はその場で断ってくれることも知ってる。
それなのにどうしていちいち傷ついてしまうんだろう。

「まぁいつものことだと思って、俺も普通に見てたんだけどさ」
「え、少尉も一緒にいたの?」



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