☆C別館☆
□エルリック王国物語
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魔女に呪いをかけられた翌日。
マスタングは彼女を倒すべく北に向かうことをホーエンハイム大臣に報告しました。
魔女成敗に関しては大いに賛成をしたホーエンハイムでしたが、その旅にエドワードとアルフォンスを連れていくことには猛反対しました。
それを聞いてマスタングも、もう一度エドワードたちに国に残るよう説得しましたが…
「絶対イヤにゃ!連れていってくれるって約束したにゃ!」
エドワードの気持ちが変わることはありませんでした。
その固い決意にホーエンハイムも諦め、しぶしぶながら旅に出ることを許可してくれたのです。
「それでは行ってまいります」
「気を付けて。…ひひん…くれぐれもエドワード様たちのことは頼みましたよ…ぶるるっ…」
ホーエンハイムに一礼すると、マスタングはその場を立ち去りました。
そして城を出て、街の中ほどまでやってくると…
「あっははははは」
「マスタング!笑っちゃダメだよぉ!」
アルフォンスに咎められても、笑いを止められないマスタング。
仕方がありません。
彼はずっと笑うのを堪えていたのです。
ホーエンハイムの姿を見たときから…
「だって…ひひん、ですよ?これが笑わずにいられますかっ!ぁははははっ」
緊急事態になんとも不謹慎なマスタング。
こんなことでこの先本当に大丈夫なのだろうかと、少し不安に思ったアルフォンスですが…
「マスタングっ!笑いすぎにゃ!そんにゃに笑ったら大臣に悪いにゃん!にゃはははっ」
マスタングの隣で同じようにお腹を抱えて笑っている兄の姿を見て、ますます不安になったのでした。
ひとしきり笑った後、ようやく気が済んだのか
「しかしこれからが大変です。魔女のところまでどれくらいかかるのか見当もつきません」
真面目な顔でそう言ったマスタング。
「とにかく北を目指せばいいんでしょ?」
アルフォンスの問いかけに頷くと
「まずはルルゼに行きましょう。大きな街だし、国民の様子もよく分かるはずです」
そう言ってアルフォンスを抱き上げました。
彼がまだ赤ん坊の頃、何度か抱き上げて遊んでやりましたが…
「さすがに赤ん坊の時より軽いですね。毛並みもよくてフワフワだ」
本来動物好きのマスタングはアルフォンスの頭や体を優しく撫でてやり、彼も特に抵抗はせず気持ちよさそうにマスタングの腕の中で大人しくしていました。
すると
「?」
マスタングの腕に何かが絡み付いてきて。
フワフワしたそれはどう見てもネコのしっぽ。
それを視線でたどると…