サヴァ小説番外編

□ある日の無人島 その2
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メノリ「さ、残るはハワード一人だな」
シンゴ「さーて、カオルの記録をぬっけるのかな〜あ」

散々工作してきたハワードに、恨みつらみを募らせて、悪魔な笑顔のシンゴである。

ハワード「ようし、ボクの華麗なフォームを見ろよ〜」

10回というとてつもない記録が出た以上、ここまで来たら、もうヤケである。

アダム「ハワード、はい」
ハワード「ありがとな、アダム〜」

アダムには終始にこやかな微笑みを向けるハワードに、シンゴはうんざりして、大いなる木の根っこに跨いで腰掛けた。
散々邪魔をしたハワードには一矢報いたい気分なのだ。

シンゴ「ん?」

木の根っこをよじ登るものの姿に、シンゴはニマリと意地悪く笑い、小枝をポキリと折ってそれをすくいあげた。

ハワード「よーし、いっくぞー」

投げようと片足を前に一歩出したハワードに向かって、シンゴは小枝を振るって、それをハワードに向けて飛ばした。
糸を吐き出しながら、それはハワードの頭にたどり着く。
そしてハワード自慢の髪の毛をつつ…と頭を下にそれは降りていく。

ハワード「ひいっ!!うぎゃあああーーーーー!!!」

それは、黒い体に足が沢山あるハワードの苦手な蜘蛛であった。
悲鳴をあげ、石を後方に転がして、ハワードは必死に気が狂ったかのように頭を振るった。
糸を吐きながら、蜘蛛はハワードの周りを漂う。

ハワード「だっ、誰かとってー!ひいいい!!」
シャアラ「く、蜘蛛よー!!いやー、こっちに来ないでー!」
メノリ「わ、私もそれは苦手だー!」
チャコ「何や、ハワードは蜘蛛が苦手なんか〜」

ハワードの様子に、チャコがケタケタと大きな口で笑う。

ハワード「うっ、うるさーい!足が多いのが嫌なんだよ!!いいから早くとれってば!」
シンゴ「それが頼む態度なの?」

クスクスとシンゴも笑う。

ハワード「ちっ、覚えてろよ!早くとって〜、ひいいいい」
ルナ「ハワード、もう落ちたわよ」
ハワード「ほっ、ほんとか?」
ルナ「落ちたって」
ハワード「どこだ、どこに行った」

まだ自分の背後に張り付いているような気がして、行方を知らないと落ち着けないハワードなのだ。

カオル「ここだが?」

不敵に口元だけ微笑ませて、まったく目の笑っていないカオルが、ズイと手の平を返して目の前に差し出してきた。

ハワード「ぎゃーーーーーー!!」

まるで手品か、落ちたという蜘蛛が手の平に乗っていて、ハワードは仰け反った勢いで思いっきり尻餅をついた。

カオル「そうか、お前はこれが苦手か…」
ハワード「に、苦手じゃない。な、慣れてないだけだ!」
カオル「……」
ハワード「……す、すみやかに処分してください…」

今にも投げつけられそうで、ハワードはしおらしく敗北を認めた。

ハワード「くっそー、覚えていろ」
カオル「…何か言ったか?」
ハワード「べっ、別に」

敷地外へと投げにいったカオルの背中に毒づく懲りないハワードであった。

ルナ「では、石投げの優勝者はカオルです!みんな拍手!」

拍手する一同を見回して、ルナは満足そうに横に渋々並ぶカオルの顔を見やった。

ルナ「おめでとう!」
カオル「ああ」
ルナ「優勝のカオルの、本日の夕食は二倍ね」
メノリ「副賞のマッサージは、ハワードからだな」
ハワード「えっ、あれはなしだろ!」
メノリ「せいぜいカオルに奉仕するんだな」
カオル「遠慮する」
ハワード「カオルがそう言ってるから、なしで決定な」
メノリ「駄目だ。決めたことはちゃんと実行する」
ルナ「そうそう、これを機会に二人は仲良くする」
カオル「……」
ハワード「……」

かくして…。

「カオル、うーごーくーなー!」
「うぐ…」
「おーおー、凝ってるなあ、お客さん。ここはドーデスカ?」

調子に乗っているハワードの声が聞こえてきて、マッサージ施行中の男子部屋への立ち入りを禁止された皆はリビングとの境の壁に張り付いて様子を伺っていた。

「どこ触ってる!肩以外に触るなっていっただろ」
「あーれー、暗くてよく見えないんだよな〜」
「〜〜〜〜!!」
「ほら、終るまでジッとしてろよ!お尻も凝ってるねえ、お客さん!平らだなあお前、もっと食った方がいいぞ」

その後、何か鈍い音と倒れる音と、ハワードと思われるうめき声が聞こえて静かになった。

皆「……」

マッサージで仲良く、は二人には無理な話であった。
そして皆が『みんなの家』に上がっている中、投げる順番が回ってこなかったアダムが、一人淋しく投げる練習を続けていた…。


<おしまい>

【後書き】
何を目指して書いてたのか、ホント不明でごめんなさい^^;
お目汚し失礼です。
楽しんでもらえたら何よりです。
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