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□拍手御礼文。主要キャラの雑談。
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「む。胸、です…」





言った後にマシュマロのように柔らかなふくらみを思い出して、隆平は体温が上がってグラ、と僅かに眩暈を覚えた。
先程の和仁と和田の言い争いを思い出しながら、ふくよかな胸は神様が女の子に与えた天上の秘宝、聖なる丘、最後の楽園であると説きたかったが、如何せんこの男にそんな度胸など微塵もあるはずが無かった。

「おっぱい!!!おっぱいが好きなんだね!!!!女の子のおっぱいが大好きなんだね千葉君はぁあああ!!!!」

「ぎゃあああ!!!!やめてぇえええ!!!!」

意地悪な顔で声を張り上げてその場に居る全員に公言する様に「千葉君はおっぱいが大好き!!」と連呼する和仁に、隆平はこの世の終わりのような顔をして縋り付いた。

「なんだ。千葉は九条と同類か」

その騒ぎの中、新しい煙草に火を付けた和田が笑うと、隆平が涙目で「へ」と呟いた。その反応に和仁が苦笑いをしながら肩をすくめておどけて見せる。

「あぁ、九条もおっぱい派なんだよねぇ。でも九条はでかけりゃ良いっつーか。ちょっと美意識に欠けてるっつーか。揉めれば形とか手触りとかまるで頓着しないアバウトな奴だからね〜。でも残念だなぁ。お尻仲間が出来ると思ったのに。千葉君、お尻好きそうな顔してるし」

「何を根拠にまたそんな事を…」

冷めた表情で和田が先程和仁が放り出した雑誌の連載コーナーを読みながら突っ込みを入れるが、和仁は「だーってさぁ」とため息をつく。

「みんな胸とか腰とかさー。お尻仲間が居ないんだもん。みんな子供だなぁ…女体は全てお尻で決まるものなのに…」

「け、胸と尻は女の代表部分じゃねーか。腰好きの奴のが少ねーよ。尻だと捻りがねぇんじゃねーか?」

和仁の言い分に苦い顔をして反論をした和田に、和仁は「えー」と非難の声を上げた。隆平はどっちにしろ胸が好きなのはガキなのか、と結論を出して、なるべく会話に入らない様に身を固めて押し黙る。
そこに、屋上の扉が大きく開かれて「ただいまー」と暢気な声が聞こえた。
ん?と隆平と和仁が密着したままで振り返ると、購買での死闘に勝利したらしい三浦が満面の笑みを浮かべ戦利品を腕一杯に抱えて戻ってきた。

「おーおーご苦労さん」

それに軽く片手を挙げて労いの言葉を掛けた和田は、視線をすぐに雑誌に向けた。そんな和田に構わず、三浦は目をキラキラさせて興奮気味にふん、と鼻を鳴らした。

「今日は男を見せたっす!!なんと!!幻のウグイス餅パンを、残りの一つでゲットしたっすよ!!はい先輩!!イチゴロールとモンブランパンとクリームチーズデニッシュ」

「わーい」

頼まれたパンをメモを見ながら和仁に渡し、自分の分を隆平に「持ってて」と預けると、三浦は和田に惣菜パンを渡そうとして、和田の持っている雑誌に目を留めた。

「あ!!エロ本!!先輩!!後でみして!!」

「俺んじゃねーよ。和仁に言え」

「あ、別に見てもいいよー。」

未だ隆平にくっ付いたまま、幸せそうにイチゴロールを頬張る和仁に、三浦は「やったー」と万歳して喜んだ。そうしてニコニコしながら隆平の隣に座ると、隆平が「はい」と渡してくれるパンを受け取って「さんきゅー」と言いながらパンの袋を破った。
それを見た和仁が「あ、」と何かを思い出した様に呟いて、隆平越しに三浦を見た。

「そーいや春樹はさ、女の子の身体でどこが一番スキ?」

口元についたいちごクリームを指で掬って嘗め取る和仁を見て、三浦はきょとん、とした顔をした。
それを耳だけで聞いていた和田は聞くのかよ、とため息をつく。
ガキ臭い三浦の事だから当然胸と言うに違いない、と決め付けてパラ、とまたページを捲る。
すると「えー、好きな部分っすかー?」と三浦の底抜けに明るい声が聞こえ、何やら幼稚園児に卑猥な質問をしているような後ろめたさが過ぎったが、性的な意味合いに全く聞こえないその返答が思わぬ単語を紡ごうとは全く思いもよらなかった。

三浦はいつもと変わらない笑みを携えたままでハッキリと答えたのである。



「そりゃあ、なんつったって、フトモモが1番っす。」



「「「…」」」



瞬間、和仁は手からイチゴロールを落とし、和田は雑誌の真上に煙草を落としてしまった。


「え、なんすか?まさかみんな、胸とか腰とか尻とか言わないっすよね。」


ニコニコとしながらさも当たり前の様な返答をした三浦に、三人は何処かやるせない敗北感を味わったのであった。





おまけ




「なぁ康高。女の子の身体でどこが一番好き?」

「は?」

昼休みが終わり、屋上から帰ってきた隆平が、何やら真剣に間抜けな事を聞いてきて、康高は怪訝な顔をした。
こういう話をする時は大抵鼻の下を伸ばす、と言った顔がぴったりと当て嵌まる隆平が、なぜこんな神妙な面持ちでこんな質問をしてくるのか。

まぁ…おおかた屋上でなにか吹き込まれたのだろう、と見当がついた康高は、大きなため息をつく。

「そんなもんを聞き出してどうしよと言うんだ」

「いいから!」

どこか焦るように隆平が迫ってきて、顔が近い、と手で押し退けた康高は少し宙を仰ぐと「まぁ…」と考えを巡らせる。

「強いて言えばフトモモかな」

「っ!!!!!!!!!」

康高の言葉に隆平が何かショックを受けた様な顔をして「くそ!!お前もか!!」と意味不明な言葉を発して悔しそうに机を叩かれ、康高は思いきり怪訝な顔をしたのだった。





おしまい。





おまけのおまけ。

「でも康高がフトモモ好きっていうと、なんかムッツリスケベっぽく聞こえるな。」

「…。」




ほんとにおしまい。



土下座(ゴリゴリゴリゴリ…)
すみません…!!!
女性の身体で何処が好き?と聞かれて「フトモモ」と答える男は「大人だ…」と尊敬の眼差しを受けるそうです…。
なんでだろうね。
下品な上に長い。最悪っす…!!

時系列が分かり難いですが、九条が逃亡最中のある昼の一コマという事で…。

い、石を…(これは仕方無いだろう。)

おわり
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