Others

□その他
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長い黒髪

前を行く背中

握られた刀

降り懸かる朱

それに負けない輝きを放つ、紅い目


それらを持つ男が、


憧れで
目標で
戦いたくて

共に生きたくて



狂は、俺の全て。





「狂」

木陰に座って紫煙をくゆらす狂に声をかけたら、紅い目が俺を見た。

「隣、いい?」

元から返事は期待してないから、尋ねながら狂の隣に腰を下ろす。

思った通り狂は何も言わなくて。
それが嬉しかった。

何か用事があるわけじゃなくても、隣に居させてくれる。


俺は何も言わない。

狂も何も言わない。


狂と同じ目線で物を見たかったし、同じ事を考えてたらいいなと思うから。

「ほたる」
「うん、お腹空いたね」
「……」
「当たった?」

ちょっと嬉しくなって覗き見たら、狂は黙ったまま俺に顔を向けた。

「魚だろ?」

そう言った狂の顔は珍しく少し笑ってた。
ほんとに少しだけど。

「当たり」


同じ物を見て、
同じ事を考える。


俺達の見上げる空には綺麗な鱗雲。


美味しそうだよねって言ったら、やっぱり返事はなかったけど。

きっと同じ。




君と見る







後書
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KYOは、京受けか、狂受けか、迷う。


20060423

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