Others..g

□っポイ!
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息抜き


「万里ー」


教科書やノートの広げられた机に突っ伏しながら、平は後ろにあるベッドで寝ている万里を呼んだ。


「…んー…何?終わった?」


ムクッと起き上がって平のやっていた問題集を覗き込む。

しかし、その問題の大半は『万ちゃん分かりません』と書かれているだけ。


「へーぇーちゃぁん?」

「だってだって、つまんないんだもんっ」


後ろから頭を鷲掴みされて、両手をバタつかせながら平が言うと、短い溜め息をついて万里が立ち上がった。


「息抜き行くか?」

「万里ぃぃぃっvV」


勉強が中断されるとあって、平が目を輝かせる。


「30分だけだからな」

「うんっ」


部屋を出て行く万里に腕を絡ませて頬を擦り付けた。






「「「あ」」」


息抜きついでで新しい参考書を選びに本屋へと立ち寄ると、二人は鷹丘と花島田に出くわした。


「天野っvV」

「タカオカに花島田じゃんっ!偶然だなー」

「花ちゃん達は塾帰り?」

「まぁな。お前らこそ、こんな時間に出掛けてんのかよ?」


こんな時間とは夜の11時のことで、確かに中学生が歩いていて良い時間ではない。


「俺らは勉…「まぁね〜」


平の言葉を遮って万里がにこやかに言った。
そのまま平の口を手で塞いで言葉を続ける。


「デェトよ、デェト」

「なんだとぉーーっ!?日下てめぇっ!」

「ほほーう、夜遅くに本屋へか」

「ふがふがふがっ」


万里の言葉にそれぞれ違った反応を示す。

勿論、万里は鷹丘をからかう為にそんな嘘をついているのだが。
気付いているのは花島田だけで、鷹丘は万里へと詰め寄り、平は息ぐるしさに呻く。


「デデデデデートってなんだよ!ズルイぞお前っ!」

「ふがーっ」

「あ、ごめん平」


苦しそうにもがく平に、万里が口を塞いでいた手を放す。


「ぷはぁー」

「天野っ!何でこんな奴とデートなんかっ」

「………デート?」

「あたし達がラブラブだからって僻まないでよね〜」


ギュッと平を後ろ抱きしながら万里が言うと、鷹丘は勢い良く二人の間に割り込んだ。
そのまま平を背中に隠すようにする。


「お前の代わりは俺が努めてやるっ!」


ニヤリと笑う鷹丘の後ろから、平が覗き込むようにして鷹丘を見た。
それだけで鷹丘の心臓はバクバク音を立てるというのに、平はお構いなしにひっつく。


「タカオカが行ってくれるのか?」

「えっ、うん!天野とだったら何処へだって!!」

「よし、じゃー行くぞっ!」

グイッ

「わっ、積極的だな、天野っvV」


腕を引っ張られながら悦に浸る鷹丘。



……………。



「行ってしまったね、花ちゃん」

「そのようだね、日下くん」



「「調達にでも行くか」」






「よし選べ、タカオカッ!」

「え?何を?」

「何をって、これだよコレ」


妄想の世界から平の声で現実世界へと呼び戻された鷹丘は、目の前に置かれた状況を把握するのに多少の時間を要した。

平が指差しているのは本棚で、見える文字は数学、英語、現代文………よく見れば『参考書』と書かれた分類板。


「タカオカ、選んでくれるんだろ?」


平的に万里の役割は参考書選びだったらしく…そうとも気付かずに有頂天になっていた鷹丘は、いつもの事ながら激しく落ち込んだ。


(いや、分かってた!分かってたさ!
天野がこうゆう奴だってのは今までの経験から十分承知してましたとも!)

「あぁぁ……日下の野郎、知ってて何も言わなかったんだな!?
全てアイツが悪い!俺がこんなになってしまったのも全部、ぜぇーんぶアイツが…」


「トラちゃん、なぁに考えてんのー?」

「ひぃっ、日下っ!お前っ、ひっ人の心を読むなよなっ!」

「あのねぇ…思いっきり口に出してましたけど」

「げっ」


今更、口を押さえても遅い。


「平、参考書はコレね。買ってきな」

「万ちゃん、漫画…「即刻、帰宅したい?」


万里の言葉に首を横に振った後、大急ぎでレジへと向かっていった。

その様を(可愛い…)とか思いながら、鷹丘が万里と花島田が持っているビニール袋を見た。


「ん?お前ら、その袋なんだよ?」

「これかー?主に酒とつまみだな」

「会っちゃったからには、すぐに帰らないでしょ?」


袋の中身を見せながら万里が言うと、納得したように鷹丘が頷いた。


「万里ぃー。買った!」

「おー偉い偉い」


誇らしげに参考書の入った本屋の袋を見せつける平。
その頭をグリグリと撫ぜてやると、へへーと嬉しそうに笑った。

そしてその笑顔にやられる輩が言わずもがな、一人。


「そんじゃあ、行きますか」

「何処!?何処に行くのっ!?」

「俺ん家」

「えぇ!帰っちゃうのぉっー!?」


笑ったり残念がったりコロコロ変わる平の表情を楽しみながら、万里が持っていた袋を見せる。
その横で花島田も、同じように袋を見せた。


「割り勘だからな」

「…ぃやったぁっvV」





それから明け方まで座談会で大騒ぎ。


朝は朝で、酒も入った平に例外無く血の海を作った男に、万里が紅く染まった雑巾をこすり付けたりなんかして大騒ぎ。





それが終われば、また受験生。

息抜き終わり。



はい、勉強です。




END





後書
ついにやってしまいましたっ!
超のつくマイナージャンル(ですよね!?)で小説。

このサイトに来て『っポイ!』を知ってて、尚且つ主人公受が好きな人って……いたら素敵…。

次は万里×平やります!
多分、裏要素が入る予定……。

読んでる人がいなくても、自己満足の為に書いていきたいと思いますっ。



050819

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