Others..g

□090909
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「オレらんとこへ来い、一護」
「断る!」

選ぶ権利なんかない、とひよ里は言った。その通りだ。
虚化は一度発症すれば二度と元には戻れない。どう足掻こうと、お前はもう俺らの仲間。


藍染に俺たちの日常、それはもう些細な喜びから悲しみまでを奪われたことは、腹立たしい。
けれど、一護が同じ目に合うことを、自分のこと以上にムカついている。それが藍染相手ならば尚更。
一護の涙にも微笑みにも手出しはさせない、そう感じたことを俺は忘れられない。一護にも俺のこの気持ちを焼き付けてやりたい。

「おい」
「なんや拳西」
「あのガキはどうした」
「織姫ちゃんの危機にすっ飛んでったわ」
「はあ?」

手元に残った包帯を、無意味に自分の指にくるくる巻き付けていじる。
聞き分けのない一護を案じている己が、頭にくる。身につけ始めた力で護られるあの子も、その力を向けられる相手も、妬ましい。

「仲間想いなこっちゃな」
「……お前もな」

その言葉に手を止める。座り込んだ俺の横に立つ、拳西の顔を見上げた。
お前の気持ちは知っていると言わんばかりのこの男は、自分の気持ちには気づいているのだろうか。一護を仲間と認めていること。刀の柄に手を添えていること。

「慌てなや」

一護の不在に苛ついている他人を見たら、自分の方が落ち着いた。
余裕を持って制してみれば、拳西は眉を寄せた後、少し考える素振りをみせてから盛大に舌打ちをする。

「みんなイライラしてるね」

大股で離れて行った拳西と入れ替わりに、今度はローズが隣に立つ。

「そりゃせやろ。自分が乗り込んで行きたいとこ、ずっと我慢してんねや」

藍染を討つ。それは風を切るように颯爽とはいかず、泥と埃にまみれた茨の道を来た。
綺麗である必要はない。足がもつれ躓いたって、ひたむきに歩き続けてきた。

「それだけじゃないでしょ」
「……」
「言っておくけど、僕は拳西と違って自分の気持ちに気づいてるから」
「……馴れ合いは要らんと思てたんやけどなァ」
「そうだね」

一護が仲間になることで、俺たちはこの戦いの先を知ることが出来る。
一護は光だ。俺たちは誰もが、光と繋がることを望んでいる。それは、ギリギリと張りつめた糸のような思い。

「彼のあの、真っ直ぐな目に惹かれてるんデスよ」
「見つめられたら、逸らせねーよなァ」
「あんたら優先順位、間違うんやないで」
「あたしたちも、でしょ?」

一護をここに置くことは、俺たちの愛だと呼べるかもしれない。この思いは、虚化した同類を助けたい、というだけではなくなっているから。

「オラ真子ぃ!早よせんと、あのハゲ死んどるかもしれへんで!」

ひよ里が窓ガラスを蹴破って現れる。その割れる音を合図に、各々が刀を手に取った。

「引きずり込んだのは俺らだ」
「拳西、おかえりー」
「うるせぇ!」

一護がここにいることで、俺たちが仮面の軍勢でいる意味を知れる。いつの間にか、たくさんのことを一護に見出していた。

「せやな、引きずり込んだのは俺らや」
「今更、死神どもに返品なんかせえへんからな」
「あたりまえデス」
「おお、ハッチが言うねぇ」

俺たちにほとばしるは、お前への愛や、一護。
命を真っ赤に燃やして、お前のために行ったろか。

「終いまで面倒みたるわ」

この仮面で、お前を護る。
離しやせえへん。






(Animarossa)







後書
仮面→一護!平一!
歌詞が、そのまま平子に言わせたいものばっかで愉快だった。

雑なのは、ああテンション上がってたんだなぁ、と多目に見てもらえると…。

OPタイアップ記念!
(タイトルのローマ字表記は合ってるか分からない)


20091028

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