Others

□おおきく振りかぶって
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好き→好き⇔好き

阿三←田



「阿部って、三橋大好きだよな」

「はぁ?何だよ急に」

いきなり振られた田島からの質問に、阿部は眉を寄せて答える。

「だってさー、いつも三橋三橋って言ってるじゃん」

「そりゃあ、キャッチャーがピッチャーに構うのは当然だろ?」

そう言って阿部はグラウンドに出ようとしたが、田島がその前に立ちはだかる。

「それだけじゃないだろ?」

「…………」

田島が何を言いたいかは分かっていた。

ちらっと、阿部は視線をグラウンド整備をしている三橋に向ける。
三橋の隣には栄口がいて、二人が何か会話をしているのが阿部の場所からでも分かった。

「気になってんだろー」

阿部の視線の先が分かってか、田島はからかうように言った。

「…別に」

「ふーん…俺は気になんだけどなぁ」

「………は?何がだよ」

「三橋が。俺、三橋好きだし」

「っ…」

突然の田島の言葉に目を見開く。

「だから阿部が、三橋三橋って言うのも気になる」

狼狽する阿部に構わずに、田島はどんどん告白していく。

「阿部は俺とは違うわけ?」

再び阿部に問いかける田島。
しかし阿部は黙ったまま何も言わない。


その時、突然田島が叫んだ。


「三橋ーーーーーーっ!!!」


田島の声に体をビクリとさせて三橋がこちらを見た。

「お前っ何やって…」

「三橋!今日、部活終わったら暇かー!?」

「てめっ、ふざけんなっ!」

三橋がどう返事したらいいのかオロオロしている内に、阿部が田島の腕を掴んだ。

「アイツに手ぇ出すな」

小さく低く、周りに聞こえないように阿部が田島に言う。

「アイツは俺のだ。俺のもんだ」

「誰が決めたんだよ」

「誰でもねぇ。けど、アイツは誰にもやらねぇ」

「三橋は俺のが好きかもよ?」

「言わせねぇ」

田島の腕を掴む手に力が入る。

恐ろしい形相をする阿部とは反対に、田島はニッと笑った。

「うん、それが聞きたかった」

「…あぁ?」

「三橋はお前が好きみたいだからさ」

「……………はぁあ?」

「だっからー!お前ら両想いっ!喜べよな〜」

阿部の肩をバシバシと叩き、腕を締め付けていた力が緩んだのを見計らって阿部から離れていった。



あ〜……つまり何だ?
田島は三橋の事が好きなわけじゃねぇのか?
っつーか、両想いって……マジかよ…。



顔のニヤケを手で覆い隠しながらグラウンドを見ると、三橋も阿部の方を見ていたようで、目があった。


『お前ら両想いっ!』


田島の言葉が頭の中で反響する。


それでもまだ、
伝える勇気はない。

自分の想いに、三橋からの想いに自信が持てるまでは…。




END






後書
実はこの話、『好きの意味』の原型でした。
だから田島が叫ぶところが同じ(笑)

その後、何となく最初がタジミハなのもどうかな…と思い、変更したものだったのです。

けど、何となく勿体無かったので こちらもup。


これより下は田島の独白です。




。。。。。




あーぁ、バッカだなぁ、俺。


俺は三橋が好き。

三橋は阿部が好き。

阿部は三橋が好き。


そしたらゲンミツに三橋と阿部が両想いなわけで。

俺は三橋が好きだから
三橋のことは応援したいと思ってるから


だから確かめたかった。
阿部の気持ち。


確認して、決心した。

諦めなきゃ。

その為にも阿部には頑張ってもらおう。
沢山、急かしてやろう。



頑張れ、三橋。


俺はクラスメイトでチームメイトとして、お前が好きだと言おう。


だから、お前も…
友達の俺が好きだと思ってくれたら嬉しいな。






END
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