REBORN!

□最後のキス
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「何処に行くんですか。」イタリアの郊外の片田舎。
暗い、人通りのない此処は電灯の明かりだけが二人を照らす。
見つめ合い目と目がぶつかる。視線は鋭い。
机の上に置き手紙が置いてあった。
たった4文字で「さよなら」とただそれだけ。
何故貴方は何も言わずにどこかに行くのだろうか。
「お前も分かっているだろう。俺はマフィア。住む世界が違う。」

「でも……!」
食い入るように彼を見遣る。分かっている。自分だってそんなことくらい。
力いっぱい手をにぎりしめる。
この間気付いてしまったのだ。彼が一流マフィアの幹部であること。忍んで私に逢いに来てくれていること。全てを知った。
だが、離れたくないと隠していたがとうとうバレてしまったようだ。
「こんな俺を許してくれ。」
泣きそうな顔をするリボーン。いつもは帽子を被り、素顔を見せない彼。こんな顔始めてみた。
所詮、私たちは表と裏の人間。決して合間見えることはない。
私はリボーンにふわりと抱き着いた。
幾分か彼の背の方が高いのでちょうど胸板にあたる。
黒スーツをギュッと掴み、涙で濡らす。ぽつぽつと微かに私の頬にも彼の涙が当たった。
彼の体温が伝わり心地が良い。
あぁ、この温もりがもう手の届かないところに行ってしまうんだ。
それなら、少しだけ時間をくれるならお願いです。
もう少しこのままで居させて下さい。
「いつかまた逢う時が来たらその時は一緒に居てくれますか?」
そう質問すれば不敵な笑みを浮かべ「当たり前だ」と耳元で囁く。
お互いの温もりに包まれどちらともなくキスをする。
それはまるで誓いのキスのようで二人の周りを温かい光が包み込んだ。


最後のキス

(いつまでもこの思いは変わらない)
(誰よりも愛してる)



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