スマブラ小説
□マルスのバレンタイン大策戦
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2月14日バレンタイン。
「リンク〜〜!」
今日も危険なスマブラ寮に、朗々と何者かの声が響き渡る。
一体何事かとリンクが振り向くと、そこには満面の笑みをたたえたマルスが、両腕を差し出し立っていた。
「い、一体何なんなのさ、気持ち悪いっ!」
条件反射で思わずその手を叩き落とすリンク。
しかし、マルスは相変わらず笑っている。
「リンク、何か僕に渡す物は無いのかい?」
「はぁ?」
「しらばっくれても無駄だよ、君の気持ちは分かっているからね。何たって今日はバレンタインじゃないか!?」
「ああ、そういえば。」
「だから、ほら。」
そう言ってまた両腕を差し出すマルス。
そこで、流石のリンクもマルスの目的に気がついた。
「もしかして、チョコ期待してる?」
「もちろん!」
「欲しい?」
「もちろん!」
「...馬鹿?」
「もちろ..っえ?」
てっきりチョコを貰えると思っていたのに、馬鹿呼ばわりされてしばし固まるマルス。
そんなマルスにリンクがさらに追い撃ちをかける。
「チョコ欲しいなら自分で買ってくればいいでしょ。お金あるんだし。」
「......いや、リンクから貰いたいんだ!」
「......仕方ないなあ。じゃあハイ、余り。」
なんとか縋り付こうとするマルスの前に、チロルチョコを置いてやるリンク。
再度固まるマルスにトドメを刺すような一言が。
「...じゃあオレ、チョコあげに行かなきゃならないから。」
「...えっ!!?」
驚いて顔を上げた先にはリンクのはにかんだような笑顔が。
「手作りだけど喜んでくれるかなぁ〜?」
「なっ、えぇ!?」
「反応が楽しみだな♪」
頬をほんのり赤らめながら物思いに耽る様子は、大変かわいらしくていいのだが、問題はマルス以外の人間の事にあげる、という事である。
「じゃあね、マルス。」
「...........」
リンクが去った後、マルスはかなりのダメージを負ったのか、床へと倒れ伏す。
「....マルス...」
「哀れだな。」
そんなマルスに注がれる哀れみの視線。
「ふ、ふふふっ、」
皆の視線の中、静かに笑い始めるマルス。明らかに様子がおかしい。
「おい、ちょっと様子見てこいよっ、ロイ。」
「え!?何で俺が!?マリオさん行ってくださいよ!」
「お前はマルスのストッパーだろ、ほら。」
渋るロイの背中をドンッと押し飛ばすマリオ。
仕方なくロイはマルスへ話しかける。
「...あの、マルス?」
「.....そうだ!?」
「何がぁ!?」
ぽん、とロイが肩に手を置いた瞬間に思いっきり立ち上がるマルス。
それに驚いたロイは、片手を胸元でかかげた、非常に間抜けな姿で固まる。
するとマルスがその手をガシッと掴み、まだパニクっているロイに向かってこう言う。
「僕以外の人にチョコをあげると言うのなら、その人に逢わせないよう、邪魔すればいいんだよね!?」
「は、はぁ...?」
「よしっ!」
.....かくして、はた迷惑なマルスのバレンタイン大策戦(←ぇは幕を開けたのである。