スマブラ小説

□愛に理由は…
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一目見たから一目惚れして、
好きになったから告白した。

目が合ったから微笑んで、
鉢合わせたから抱きしめた。


ただそれだけの事に、
理由なんて、いるのかい?







「リンク〜おはよう!」
「おはよーマルスー」

空一面の曇り空をバックに、彼の綺麗な金髪がよく映える。


うん、今日も快晴。
なにが?って僕の気分が。

律義な彼は、僕が抱き着きさえしなければ普通に接してくれるからね。


まぁ、いつまでも普通に接してる僕じゃないが。

「今日も可愛いね、リンク!」
「そんな事褒めてもらったって嬉しくとも何ともないねっ!」

ギュッと抱きしめようとするとヒュッと頬を何かが掠める。

おぅ……君は聖剣なんて無くても充っ分勇者やっていけるよ、その左フックは。


そう簡単に殴られる僕じゃないけど、ちょっとひやりとしてしまったよ。


「おっと、怖いなぁ〜?危ない危ない。」
「…あんたのその余裕たっぷりの顔がムカつく……」


本当はかなーり切羽詰まってたけどね。
冷や汗を笑顔で包み隠す。
王子たる者、これくらいの芸当は出来なければね。


「そんな寂しい事言わないでよリンク〜!」

ガバッとスキを見て抱き着く。


…あれ?反撃が来ない。
これはこれで怖い気がする…


「……」
「…リンク?」

無言の圧力。
だがしかし殴ったり襲い掛かってくる気配はない。


「……何かあった?リンク。」
「…んー…」

自分から抱き着いておいて、殴られない事に疑問を感じる、というマルスの変な質問に返ってきたのは、肯定とも否定ともつかない曖昧な返事。

「……マルスはさ…オレの事、好き?」
「当たり前じゃないか!」

不意をつくような質問に、少し狼狽するマルス。マルスはリンクの事が好き、これは自他共に認める事であったから。

「……ねぇオレなんかの、何処が好き?」
「え?無論全て。」
「答えになってないよ…」

いつもと調子が違うリンクを心配して、マルスが表情を伺おうとすると、ふっと俯き、長い金髪でその顔を隠してしまう。

「…んー、じゃあその綺麗な金髪とか、澄んだ眼とか、いつもは怒りん坊だけど意外と優しいところとか?」
「………」
「綺麗なところも、醜いところも、全部引っくるめて君が好きだよ?」


そう優しく囁きながら、彼の髪の先を弄ぶ。


「っ…なんで……」
「え?」
「なんでそんなに、愛してくれるの…?」
「人を愛する事に、仰々しい理由なんているのかい?」


今だけは、この恥じらいを知らない口に感謝しよう。



「…マルスは、優しいね。」
「リンクには負けるさ。」

にこりと笑って口付ける。
リンクも反撃する事無く、くすぐったそう笑っている。


「……そっ…か。」

安堵するような表情。
…もう、大丈夫そうかな?


「…で、何故君はいきなりそんな事を思ったんだい?」

しばらく戯れた後、昨日の自分の行動を思い返してみる。自分は何か、リンクを心配させるような事をしただろうか?


「ん、それは…」
「それは?」


しばしの沈黙。
それから、リンクがぼそぼそと話し始める。


「…マルスが…さ……」
「…僕が、何?」
「昨日、女の人とすごい楽しそうにしゃべってたから……」
「え?」

顔を赤らめて俯くリンク。
あれ、僕そんな楽しげに話してたっけとか、いや今はどうでもいい、それより……

「…それって、嫉妬してくれてたって事?」
「はっ、なっ……!」

どうやら図星らしい。
恋人として、これ以上嬉しい事があるだろうか?

「うわ嬉しぃー!」
「う、うるさいっ!!こっちは心配してたのに!」
「どんな風に?」
「オレなんか嫌いになったのかなとか、飽きたのかなとか……って、笑ってるなそこー!」
「ハハハッ、ごめんごめん。」

あのリンクがそんなに自分の事を思っていてくれてたなんて。
そう考えると、笑いが止まらなかった。

「――〜っ、やっぱ言わなきゃよかった!」
「だって嬉しいんだもんさ!」

感情に任せて、思いっきり抱きしめる。
さらさらの金髪が、頬をくすぐった。



「大丈夫だよ、リンク。僕は君しか見えてないし、君を溺愛しているから。」
「よくそんな恥ずかしい事平気で言えるよねぇ……」

軽口叩いてはいるけれど、その顔は真っ赤である。
それがまた愛しくて、忍び笑いが漏れる。


ああ、こんなに笑ったのは初めてじゃないのかな?


リンクに会って、全てが変わった……そう思う。
感情が豊かになり、目にする物は皆輝き、人々との偽りの絆はいつの間にか決して解けない絆となっていた。

他にも沢山変化はあったけど、一言で説明するなら…

彼のお陰で、世界が変わった。




「ありがとう、リンク。心から愛してるよ。」
「…それは、僕の台詞だよ。」

これはまた嬉しい事を。



二人で顔を見合わせ、笑う。

この輝かしい日々と、
この素晴らしい恋人が、
いつまでも
共にありますように。









〜あとがき〜
とりあえず、甘〜いのが書きたかったんですっ!!
うおぁあぁ、なんかこんなでも糖吐きたい気分ですっ!

てかカラオケ中に小説打ってる僕って何?

リンク女々しくてすいません!


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