スマブラ小説
□赤い糸
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「ねぇ、マルス。」
ごろりと、何をする訳でもなくソファーに寝転がっていると。
…その日は珍しく、彼の方から話しかけてきた。
「…運命の赤い糸って話、知ってる?」
それも、突拍子もない話題を引き連れて。
「いきなり何だい?」
「だーかーらー、運命の赤い糸って何?」
ふわっと、彼の長い髪が僕をくすぐる。
ちょっと顔近いぞ。
恐らくピーチかゼルダあたりに聞かされた話題だろうね。
まぁ、リンクと一緒に居られればどんな話題でもいいけど。
「んーっとね、その起源は神話から来てるんだけど…まぁ簡単に言えば、運命の相手と自分とを結ぶ赤い糸の事。」
「え、本当に赤いの?どっから延びてるのそんな糸?」
ぐるぐると自分の身体を見回すリンク。
そうか、彼の国にはそういった噂や昔話とかが無かったのか。
「一般的には小指から。」
「…………無いけど。」
じぃーっと自分の小指を眺め、それから不思議そうに首を傾げる。
リンクって、時々凄く天然な気がするのは僕だけか。
「目には見えないんだよ。」
「見えないのに、誰かと繋がってるかなんて信じられるの?」
「人それぞれだね。単なるほら話だと切り捨てる人もいれば、運命の相手は必ず何処に居ると信じる人もいる。」
へぇ…と、イマイチ納得いかなそうに小首を傾げるリンク。
「マルスはどっち?」
「んー僕は信じないかなぁ…?でも、リンクとなら繋がってる気がする。」
「ぷっ、何だそれ。都合いいなぁー」
ピッと小指を伸ばし自信満々に言い放つとリンクがくすくすと笑う。
「リンクは?」
「んー、じゃあ信じてみようかなぁ、マルス以外の誰かと繋がってるって。」
「えー、酷いなぁ。」
悪戯っぽい笑みを浮かべ小指を振るリンクの手を掴んでやる。
「ふん、まぁ僕にかかればそんな物、関係無いね。断ち切って、僕と結び直してみせるよ。」
「うわさすが王子。独占欲半端ないね。」
こちらも負けじと笑い返せば、苦笑と呆れが返ってきた。
でも…、と彼が続ける。
「切らないでも済むかもよ?」
「へ?」
「…ほら。」
そう言い照れ臭そうに彼がしたのは、俗に言う指切りげんまんというもの。
僕の小指と、自分の小指とを結び付けて満足気に笑う。
「…成る程ね。確かに繋がってるし、糸より頑丈で親密だ。」
「ふふん、どーだぁ。」
僕の褒め言葉に、本当に嬉しそうに笑うリンクが眩しくてしょうがない。
(……赤い糸…本当にあったりして。)
小指から伝わる僅かな熱に顔を綻ばせる。
赤い糸も、
運命の相手も関係無い。
僕らは今、
確かな"絆"で結ばれている。
〜あとがき〜
なんか授業中に唐突に書きたくなった物…ふとどっかで聞いたんですよね、赤い糸伝説。
最近私の書くリンクがお馬鹿…もとい天然になってきた!!
マルスがまともになってきた…嘘だろ変だぁっ!!(ぇ
色々頑張ろ、頑張ります。