スマブラ小説

□夏バテ王子
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カーーンと、昼を伝える鐘の音が響く。

僕はそれをベットの中で、聞くともなしに聞いていた。






「はぁ…何やってるんだろう、僕。」


何をする気力もなく、ただ時間だけが過ぎてしまった。

起きてからずっとこの調子。



風になびくカーテンがくすぐったくても、お腹が減っても、扇風機のタイマーが止まってしまっても、動く気になれない。

これが所謂"夏バテ"ってヤツですか?


「かったるいなぁ……」

暑くて寝る事も出来ずに、
ぼんやりと今日は何しようか考えるだけ。



剣の稽古でもしようかな。
――いや、それは暑くてやってられない。

ロイでもからかいに行こうか。
――でもなんかあいつ暑苦しいんだよね。

いい加減ご飯食べようか。
――食欲ないし、第一面倒臭いんだよ…


リンクに逢いに行こうか。



「――…リンクに……」

いや、門前払いされるのがオチか。

はぁーと溜め息一つ。
グルリと寝返る。


その時、
ノックも無しに部屋の戸が開かれた。


「こらぁ!いい加減起きろ、このぐうたら引きこもり王子!」
「………リンク!?」

そして現れたのは、素麺片手にいきり立つリンク。

わぉ、テレパシィ。
なんて素晴らしき愛のチカラ。


「ほら、飯くらいちゃんと食べる!」
「あ…ありがとう。」

ズイッ、と目の前に差し出される素麺。
あ、もしかして心配されてた?


ズルルーーっと麺を啜る。
うん、いい茹で加減。

……って…なぜかリンクの視線が痛い。


「…………。」

「…リンク、僕に見取れてるのかい?」
「ち、違う!このナルスがっ!」

顔を真っ赤にして反論するリンクも可愛いんだけど……なんだ、残念だなぁ。


「そんなんじゃなくて……あんた、大丈夫なの?」
「何が?」

「体調とか…夏バテとか……」
「んー、まぁ、大丈 夫…かな?」

本当は思いっきり夏バテてますが、ね。


「そうだよね…あー、心配して損した。」


そう呟くなり、席を立ち部屋から出て行こうとしてしまうリンク。
いやいやいや、ちょっと待とうよ。

「心配してくれてたの?」
「ま、まさか!余った素麺が勿体なかっただけだよ!!」


かぁぁあっ、と顔を真っ赤にして反論するリンク。これは自惚れていいよね?


「ふふふ、それでもいいよ。ありがと。」
「……んだよその目は…!」
「なんだかんだで優しいリンクを愛してるっていう思いを込めた熱視線!!」

「うるさいこの自意識過剰王子!」

どうやら完全に照れてしまったらしい。
バッタンと部屋を震わせる程強く戸を閉め出ていく。
そんな様子に堪らずくすくすと笑っていると、戸の向こうから微かな声が聞こえてきた。



「ご飯だけは食べないと、本当に体調崩すぞバカ……せっかく作ってるのに…」
「……っ!?」

強烈な不意打ちに、目を見開いたまま固まる。
その間に彼の足音は遠ざかる。


「あっ、リンク!!」

バサァと布団を蹴落とし、シーツを掻き乱し、靴の踵を踏みながらもドアの向こうへ駆ける。
さっきのけだるさはどこへやら。

二人が駆け出した後の部屋には、食べかけの素麺だけが残された。



(―――…栄養満点の薬より何より、君の優しさが僕の一番の特効薬だよ。)






そしてこの後、勇者に抱き着いて殴られる王子の姿が見られたとか見られなかったとか。








〜アトガキ〜
な、なんか久々過ぎてすいません!!
私が夏バテ真っ最中なもので…(ぁ
最近は一日二食食べるか食べないかなので前半の描写はリアルな現状に近く…

同じく布団の上で暇つぶしに携帯いじってるような人に「あるあるー」とか同意して頂ければ本望です(笑

お付き合いありがとうございました!

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