スマブラ小説
□いつもの日常
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・遭遇ポイント1
午前5時37分 自室前廊下
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いつも通りの時間、規則正しい電子音で目が覚めた。
いつまでも煩く鳴り喚く目覚まし時計を黙らせて、機械的に身支度を整える。
そして寝ぼけ眼で廊下へと出た瞬間、
「……あ、リンクじゃないか!おはよう、奇遇だねこんなとこで会うなんて。これって運命ってヤツかもね!」
突如青いカタマリが目の前へと立ち塞がった。
ビシッと突き出された親指を、思い切り捻ってやりたくなるのをぐっと堪える。
「…こんな朝早くから人の部屋の前でじっと待ち伏せて、ドアが開くのを見計らって飛び出してくるのは運命じゃなくてただのストーキングじゃないんですか」
「ハハハッ、今日も元気そうでなによりだよ!じゃ、僕は用事があるからこれで!」
……この人相手じゃ皮肉も何もあったものじゃない。
ものの10秒としない内に颯爽と立ち去っていく不審人物。
もう本当、あの人の行動は全く理解できない。
…否、したくない。
「………毎朝毎朝、一体何しに来るんだあの人は…」
こうして今日も、僕は怪しいモーニングコールで目が冴えきるのであった。
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・遭遇ポイント2
午前6時53分 キッチン
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「ただいま!食事でも風呂でも君でもいいんだけど、とりあえずご飯の時間だネ!」
「何か変なのがあった気もしますけど早いとこ皿持って向こうへ消えて下さい。」
「つれないなぁ〜…」
口では文句を言いながらも割と素直に動く王子様。
ふむ、僕の事は召使か何かかと思っているのかと思っていたが違うらしい。
「このナベも運んじゃうよー」
「あ、あぁうん。」
ナベを抱えながら華麗にマントを翻し去って行くマルスの後ろ姿を見ながら、僕は何とも言えない思いに首を傾げていた。
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・遭遇ポイント3
午前7時32分 食堂
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「リンクー、隣いいかい?」
「駄目」
「もう素直じゃないなぁ、別に照れなくたっていいんだよ!」
……ウザっ!
にこにこと笑いながら結局隣に腰掛けるナルシストに、僕がふと殺意を覚えたのは言うまでもないだろう。
に、しても
「…近ーいなぁ……」
「……ほら、人多いからさ。」
「じゃあ反対側の1mくらいのスペースは何ですか。」
「必要スペースです。」
「何の」
「僕の美しさで、ロイに過ちを犯させない為の。」
『何だよソレ!』
半ばキレ気味のロイと僕の声が見事に唱和した。
その間に挟まれたマルスはちょっとうるさそうに顔をしかめている。
相変わらず、何というナルシシズム。
一回鈍器かなんかで殴られればいいと思うよ……
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・遭遇ポイント4
午前9時10分 中庭
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「リンク!」
「何だい僕は今忙しい。」
「むむぅ、ならば手伝おうじゃないか!」
バサッと手に持った洗濯物で打ち払おうと試みるが、惜しくも失敗に終わる。
舞った水滴さえ華麗にかわされ、何となくイラっとくる。
笑顔が。
「……コレっ」
「わっ、冷た!」
今度はかわされないよう濡れた洗濯物そのものを投げ付ける。
あれなんか僕子供っぽくない?
「…冷静に冷静に……」
それから僕は、洗濯物を干す作業に没頭するのであった。