スマブラ小説
□アルコール厳重注意!
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「王様誰ー?」
「はーい♪女王様とお呼び!」
マリオのふとした提案から開始された王様ゲームは、なんだかんだ言ってもかなり盛り上がっていた。
「ピーチかぁ...」
「はい文句言わな〜い♪じゃあ一番と九番!キスしなさい!」
「やっぱその手のものだと思ったよ...」
大分時間が経ち、ロイのツッコミが復活した。
これでこの混沌にも回復の兆しが見え始めたか?
「ワシが一番.....」
「げ、九番オレっ!!」
「「その命令実行不可!!」」
お互いが相手だと知るなり、見事なハモりで命令を却下するリンクとガノン。
しかし、そんな事じゃ腐女子は止まらない。
「命令は命令だからねー魔王×勇者も大歓迎だからー。」
「「なっ、誰がコイツなんかと!?」」
「わあ、息ピッタシ。」
「何で僕一番じゃないんだろう...」
全くの同タイミングでお互いを指さし叫ぶ二人。
そんな二人に地獄の追撃が降り懸かる。
「ちなみに、最低でも五秒以上宜しくね。」
「はぁっ!!?」
「無理な話しだな。」
二人にしては珍しく、息統合している様子。
流石に酒の勢いで道を踏み外す仲ではないらしい。
「仕方ないわねー、じゃぁちょっとでいいわよちょっとで。」
「そういう問題じゃないって...はぁ。」
ピーチの妥協に、ガノンをキッと睨みつけた後、渋々ながらも同意するリンク。
ここらへんが酒の影響なのだろうか。
「するなら早く。何も見ないから...」
「.........」
ようやく腹を括り、目をつぶったまま微動だにしないリンクに対し、ガノンはまだ戸惑っていた。
(これと?キス!?何か凄まじい殺気を出してるこの猛獣と?何か今にも斬りかかってきそうなこの危険物と!?でも案外綺麗な顔立ちをいしてるんだな、じゃない、これは男だ。でも以外と睫毛長いんだな...)
そんな事を長々と思っていると急にリンクが目を開けた。
「おいコラ、いい加減にしやがれ。」
自分はじっと待ってるというのに、もたつくガノンにリンクがキレる。
「早くしろよ黒豚!」
「...くっ」
そして、ほんの一瞬触れ合うようなキス。
衝撃的なその光景に皆が固まる事数秒。
「.......っ!!」
「あ。」
全力ダッシュで水道場に向かったリンクによって沈黙は打ち消された。
......かに見えた。
「ガノン...」
「あれは不可抗力だ。」
たった一言で恐ろしいほどの殺気を振り撒くマルスに、再び起こる沈黙。
思わずガノンも言い訳モードになった。
「一応それは分かってるけど、新月の夜にはせいぜい背中に気をつける事だね。」
「.......」
黒マルス様、御光臨。
「ただいま...さて、続けるか」
黒リンク様、御君臨。
二人の思惑は、言うなれば無差別テロ。
「......」
「......」
「.......」
二人の暴君が、本当にやる気になった今、巻き込まれるのは必須だった。
「王様は、オレだぁ!」
そして長い長い夜は徐々に更けていく。
その危険さを、どんどん増しながら。