スマブラ小説
□雨の日の災厄
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「…どいつもこいつも……」
「り、リンク…?」
「室内で暴れやがって……」
「済まなかった!」
じりじりと壁際にアイクを追い詰めていく。
そしてビシと眉間に指差して。
「…これから当分、給料とお肉抜きだから!」
「―――…なっ!!」
とどめを刺すような言葉に、アイクがピシャーンという効果音がお似合いの超シリアス顔になる。
この人絶対後半に反応したな。
「それは酷過ぎるよリンク!」
「リン兄〜アイ君の苦しみは、僕がよーくわかるぽよ!」
「手厳しいね、リンク……」
ガクッと崩れ落ちるようにして地に膝をついたアイクを、他のメンバーが必死で庇う。
だが天井破壊の罪は重い。
「外野がうるさい!行くよマルス!」
「…ハーイ。」
「お代官様お待ちを!!」
「無礼者!」
纏わり付いてくるカービィやピットをバサァと振り払い格技場を後にする。
バタンと閉めた扉の向こう、聞こえる呻き声には無視を決め込もう。
「マルス、次行くよ!」
「仰せのままにー」
これですんなり着いてきてしまうマルスも、実は結構Sに近いんじゃないかなんて思いつつ、廊下を大股で歩く。
むろんその間にも、危険人物に目を光らす事を忘れない。
「ロボットさん、室内の制限速度は20kmまでです!マリオさん、火気厳禁ですからファイヤーボールは慎んで下さい!プリンさん、廊下は転がらない!ディディー、バナナは食べたら片付ける!」
ビシッビシッと指差しながら、注意していく。
部屋も片っ端から巡り、破壊者予備軍を撲滅していく。
すると、あるドアの付近から酒の匂いが漂ってきた。
しかも、親父どもの笑い声まで聞こえてくる。
「ここは危険そうだね……」
「…そうだねリンク、僕が先に入るよ。」
バンッ。
「御用改めであーる!」
「はぁ?…って、マルスにリンクかよ、何かと思っ……」
「おぅ、一緒に呑まなっ……」
ドカドカッ。
『おぅっ』
酒瓶片手に絡んでくるファルコンを、間髪入れずに蹴り倒す。
悲鳴が二つしたところから察すると、どうやらマルスも同じようにしてスネークを沈めたようだ。
パパッと、床に散乱していた酒をあらかた掴んでマルスに持たせる。
「パス。」
「はいはい。」
「いきなり突っ込んできて……何の用だ小僧。」
「あー、我輩の酒が…」
「あんたらこそ昼間から酒盛りなんて、どういう了見なんだ?これは没収!酔いどれて迷惑かける前に寝ろ!!」
当然のように文句を言ってくるガノンとクッパを一喝して黙らせる。
大魔王も形無しだね。
「リンク、酒臭さが移る前に出よう?」
「そうだね。……っとその前にデデデさん、そこの隠してある酒も渡して下さい。」
「ハッ!……仕方ない…」
去り際に、部屋の角にうずくまっていたデデデからビール瓶を何本か奪う。
「片付けといてよね!」
バンッと、来た時と同じようにドアを乱暴に開け外へ出る。
いい加減、疲れたな。
「ふぅ……こんなもんでしょ…そろそろ、リビングにでも戻ろうか…」
「馬鹿どもの相手は想像以上に疲れるものだね…」
そんな事を呟きつつ、ガシャガシャと五月蝿い酒瓶片手にリビングの扉を開く。
すると目の前には。
「何してんのさ…」
何も言わずにただ平伏す、子リン、ネス、ロイの姿が。
「それが、片付け中に足が滑って……」
ぼそぼそと呟くように、ネスが重い口を開く。
無言で先を促す。
「思いっきりずっこけて…」
「……窓硝子に…」
3人がそれぞればつが悪そうに顔を見合わせ、ゆっくりと窓の方向を指差す。
ザァ――…と降りしきる雨が、部屋の中まで濡らしていた。
「…………。」
沈黙したリビングに、つけっぱなしのテレビの音だけが響く。
――――…どうやら、今日から梅雨入りした模様ですね?
ハイ、これから1、2週間の間は止まないでしょうねぇ。週末お出かけの予定がある方は、傘をお忘れずに。
それでは、一週間の天気予報です。梅雨前線がある事により、各地とも大雨に…――――
パッ、とブラウン管が映し出したのは、一面傘マークだらけの天気予報。
眩暈がしてきた。
「――…もう…もう、雨なんか大っ嫌いだ――――っ!!」
雨音に負けんばかりの勢いで、叫ぶ。
ぽん、とマルスが同情するように肩に手を置いたのを感じた。
嗚呼、
嫌な季節がまた始まる。
〜あとがき〜
ちょっと今回は、キャラ多めに出すという事を目標にやってみました。
……ちょいちょいですが。
私自身、梅雨は嫌いなんです!
太陽ギラギラよりましですし、雨も眺めたり濡れにいったりするのは好きなんですが…が!
あくまでオフの日の過ごし方であって、学校あると黒板が見えにくいんですよね、テンション下がるし。
家で雨音に耳を傾けるのは大好きなのになぁ…(引きこもり;
梅雨が終わったら夏が来る…!
太陽が怖いよー、痛いよー。
肌に日光が突き刺さるんだってば、いやマジで。
せいぜい、干からびないように頑張ります。
では、ここまで読んで下さりありがとうございました!