小説
□Good morning ?
1ページ/4ページ
まぶたの裏がほの白い
そう認識すると同時に、ヒトミの意識は急激に覚醒した。
「ん…」
布団からはみ出した肩が少し冷えている。目を閉じたまま腕を上げて毛布を顎の辺りまで引き上げた。
一呼吸置いてからゆっくりと目を開ける。
最初に飛び込んできたのはクリーム色の天井。そして首を右に向けると、そこには最愛の人の寝顔があった。
「…」
その穏やかな寝息を聞いてヒトミはふわりと微笑んだ。兄で、恋人で、一番大切な人…鷹士と迎える、いつもの幸せで穏やかな休日の朝。
*Good morning ?*
それにしてもちょっと寒い。
そういえば昨夜の天気予報で今朝はこの冬一番の冷え込みだと言っていたっけ。
カーテンの向こうは白み始めている様だが、今何時だろう。
ヒトミは壁の時計を見た。6時を少し回っている。
今日は日曜日でいつもよりゆっくり出来るとは云え、後20分くらいしたら鷹士は起き出して朝食の準備を始めるだろう。
(部屋、暖めようかな…)
少し体を起こしてエアコンのコントローラーを探した。ベッドのキャビネットには置いてない。
視線を廻らせて見ると、サイドボードの上に目的のものを発見した。
「……っしょ」
ヒトミは肩肘を突いて体を起こすと、鷹士の体の向こうのサイドボードへ手を伸ばした。
届かない。
ちゃんと起きれば良いのに、横着して右手をベッドに突けたまま、半ば鷹士の体に圧し掛かるような状態で更に手を伸ばす。
.