小説
□待ち合わせ
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7月が終わる。
ヒトミがダイエットを始めて4ヶ月。
途中、少しのリバウンドはあったが、その後も順調に体重は減り続け、とうとう80キロを切るまでになっていた。
「兄ちゃん、今日は午後から会社の方に顔を出さなきゃいけないんだ。だから、今夜は外食にしよう!野菜中心のヘルシー料理の店を調べておいたからな。ヒトミが頑張ってるご褒美だ!」
鷹士のその言葉で、今夜は外食に決まった。
ダイエットを始めてからずっと家で食事していたから、外で食べるのは久しぶりだ。
鷹士の料理は抜群に美味しくて、不満などなかったけれど、それでも久々の外食にヒトミはワクワクしていた。
* 待ち合わせ *
ヒトミが待ち合わせの駅に着いた時、時刻は約束の40分前だった。
(ちょっと早く着すぎたかな?)
まあ、どうせ鷹士は約束の時間より早く来るから、それほど待たずに済むだろう。そう考えてヒトミが目印にしてあるモニュメントの前に行くと、そこには同じように待ち合わせをしている人達が居た。
ヒトミは通行する人の邪魔にならないような柱の前を選んで立つ。
駅ビルの中は一応冷房が効いているので、外の茹だる様な暑さはないが、それでも立っているだけでジワリと汗が滲んでくる。
ハンカチで汗を拭いながら、やっぱり隣のデパートでも覗いて見ようかな……と思い始めた時、隣に立っているOL風の女性が、携帯を握り締め、落ち着かない様子でキョロキョロしているのに気付いた。
何気なくそちらを見たヒトミと目が合うと、彼女は申し訳無さそうな顔で近づいて来る。
「あの、ごめんなさい。今何時かしら?」
「あ、えーと、5時23分ですよ」
笑顔で答えたヒトミに、女性はホッとしたような表情で微笑んだ。
「ありがとう。携帯を時計代わりにしてたんだけど、電池が切れちゃって困ってたの。助かったわ」
女性は軽く会釈をすると、元居た場所へと戻っていった。
ヒトミはもう一度、デパートに入ろうかどうしようか考えたが、
(……耐えられない様な暑さじゃないし、物欲に負けそうだからなぁ。それにお兄ちゃん、思ってるより早く来るかもしれないし)
そう結論付けて、やっぱりここで待つ事にした。
通路の方へと視線を向け、通り過ぎる様々な人々を眺める。
その中で、どうしても目に付いてしまう同年代の女の子達。
スマートな身体、フワフワとした可愛いワンピース。
今の自分にはまだ似合わないかもしれないけど、いずれは……きっと……
そう考えると、ますますダイエットにもやる気が出る。
そうしてしばらく、ぼんやりと周りを眺めていると……
「キャッ!!」
突然右側からドスンと強い衝撃を受けて、ヒトミは危うく転びそうになった。
何とか持ちこたえて、慌てて衝撃の元を見やると、女子高生らしい女の子が尻餅をついている。開いた足の間から、短いスカートの中身が見えてしまいそうだ。
「あいたた……」
女の子は顔を歪めて腰を擦った。
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