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さてさて、今日もいい天気。


お天道さんは東の空で、真っ青な空を背にして暖かに輝いている。


「銀さーん、朝ですよー」


銀時の耳元で、鍋の蓋をおたまで叩きながら、新八は声を張り上げた。


布団の裾からのぞく白髪は、今日も盛大にくるくるぱーだ。


「銀さーん。早く起きなきゃ結野アナの占い見逃しちゃいますよー」


新八のその一言で、銀時はがばっと飛び起きた。


掛け布団を蹴飛ばして、ぐいっと上体を捻り枕元の時計を見る。


ジャスタウェイ時計は、今日も無表情のまま、チクタクチクタクと規則正しく働いている。


針が指す時刻は、寸分の狂いも無い。


「やべ、もう始まる!」


傍で呆れ返っている新八を見もせずに、銀時は居間に走った。


「銀さーん、布団くらいちゃんとしてからそっち行ってくれませんか?」


「あー、新八適当に畳んでそのへん置いといて。なんならそのまま放っときゃいいから」


結野アナの、ブラック星座占い〜。


テレビから毎朝お馴染みの声が聞こえてきて、銀時は「結野アナァァァ!!」とテレビに飛び付かんばかりだ。


そんなに好きなのか、結野アナ。


新八は小さく息を吐いて、立ちあがった。


銀時も、自分がお通ちゃんに熱中しているのを見たら、こんな気分になるのだろう。


そんなに好きなのか、お通ちゃん、って。


そんなことを考えながら、布団はほったらかしで居間に戻る。


だらしない銀時への戒めだ。


(僕はお通ちゃんが好きだけど、やらなきゃならないことはちゃんとやってるぞ)


「おはようヨー」


「あ、神楽ちゃん。おはよう」


新八が笑顔で声をかけると、神楽は寝ぼけ眼で新八を見やって


「あれ、新八来てたアルか。毎日毎日朝早くから、御苦労なこって」


「なんかその言い方嫌な感じなんだけど。僕すごい鬱陶しい奴みたいじゃないか」


「事実お前は鬱陶しいアルヨ」


「ちょっ、なんだよそれ!僕は皆のためを思って…」


「よっしゃぁぁぁぁ!!俺一位だぁぁぁ!!」


「ちょっと銀さん!今大事なとこ…」


「ラッキーカラーは白!?よっしゃ、俺常に装備してるよ!頭に白装備してるよ!」


「銀ちゃん、それ銀髪って言ってなかった?」


「いいんだよ、どっちでも。白も銀も似たようなもんだろーが」


「でも」


「うるせーな、おめーはいちいち!どっちみち、俺の着物に白入ってんだから、今日の俺はラッキーデーなんだよ!俺の髪が黒でも赤でもラッキーデーなの!」


「あ、そっか」


「よーし、分かったらさっさと卵かけご飯作ってこい。今日お前の当番だろ」


「ラージャ!」


びしっと敬礼して、ぱたぱたと台所に駆けていく神楽を見送ってから、銀時は洗面台へ向かった。


居間に一人立ち尽くす新八は、こめかみを押さえて溜息をつく。


いつも、こうだ。


銀時も神楽も、新八の怒りを軽くいなしてしまう。


そして新八のやり場の無い怒りは、二人に対しての呆れに変わる。


ほんとに、二人とも世渡り上手というか、なんというか。


得だよな、ああいう性格だとさ。


そんな二人に対して、僕はほんっと損な性格だ、と新八は思う。





(だってさ)



(そんな二人が、なんだかんだで大好きなんだからさ!)





僕等を見下ろす青空のように、広い心を持つ。


彼等と気持ちよく接するための、僕の最重要条件。








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