彼の者の名は、忘却の糸使い

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「帰っていいですか?」

「ごめん、俺も帰るぅ…」

それを目前として、くるりとUターンをした二人。

まるで打ち合わせをしたかのように足並みは揃っている。

「ちょっと待って下さいよー!!」

慌てて二人の服を掴んで阻止させる一人。

「イドル、任せました」

「今回は俺もパス」

帰ろうとした二人は、ライゼルークとアリス。

止めようとする一人は、イドル。

「嫌ですー!何で帰っちゃうんですかー!」

「水が嫌だからです」

「だって穴だぜ?狭くて暗いのは勘弁だもん」

まるでお子様な理由がライゼルーク、アリスと続いた。


男三人がシムに貰った地図を頼りに辿り着いた先は洞窟。

自然のままの洞窟とあって、中は勿論暗い。

しかも、それは川の流れ込む所にあった。

「そんな子供染みた理由、私は認めないですよぅ!ってか二人共本気ですか!?」

「いや、本気本気。本気と書いてマジと読んじゃうくらい本気。
だから放してくれイドル!」

アリスは服を引っ張られながらも、思い切り洞窟と反対方向、つまり元来た道を引き返そうと足に力を込めた。
 
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