彼の者の名は、忘却の糸使い
□03
1ページ/6ページ
「帰っていいですか?」
「ごめん、俺も帰るぅ…」
それを目前として、くるりとUターンをした二人。
まるで打ち合わせをしたかのように足並みは揃っている。
「ちょっと待って下さいよー!!」
慌てて二人の服を掴んで阻止させる一人。
「イドル、任せました」
「今回は俺もパス」
帰ろうとした二人は、ライゼルークとアリス。
止めようとする一人は、イドル。
「嫌ですー!何で帰っちゃうんですかー!」
「水が嫌だからです」
「だって穴だぜ?狭くて暗いのは勘弁だもん」
まるでお子様な理由がライゼルーク、アリスと続いた。
男三人がシムに貰った地図を頼りに辿り着いた先は洞窟。
自然のままの洞窟とあって、中は勿論暗い。
しかも、それは川の流れ込む所にあった。
「そんな子供染みた理由、私は認めないですよぅ!ってか二人共本気ですか!?」
「いや、本気本気。本気と書いてマジと読んじゃうくらい本気。
だから放してくれイドル!」
アリスは服を引っ張られながらも、思い切り洞窟と反対方向、つまり元来た道を引き返そうと足に力を込めた。